龍人の料理店⑩

 ランチタイムとディナータイムの間の休憩時間に入った理科とミリンちゃんは厨房にある小さな鍋の前で頭を抱えていた。


「カレー?」


「シチュー?」


「はたまた肉じゃが?」


 理科たちの前にある小鍋には今は出掛けているこのお店の店主ソルトさんが理科たちの昼食用にほとんど調理してくれた食材が入っていた。


「理科さん、私たちはこの食材から何を作ればよいのでしょう?」


「そだな~~~」


 理科は小鍋の中をじっくりと見てみた。


「この中には白滝が入っていないよね~~~」


「はい。確か、お店で提供している肉じゃがには白滝が入っています。まかないとはいえソルトさんが肉じゃがに白滝を入れ忘れるとは思えません」


「これで2つに絞られた」


 次に理科はお肉に目を付けた。


「ミリンちゃん、このお店で出しているシチューは何のお肉を使っているか知っている?」


「えっと、確かウシではありませんでしたか?」


「そう、インフィニティではシチューに牛肉を使っているけど~~~この中に入っているのは鶏肉。つまり?」


「ソルトさんはカレーを作る準備をして行ったという事ですね!」


 謎が解けたところで理科たちはほとんど準備の終わったカレーを完成させるだけだったが、基本的にチョコレートパフェのようなデザートしか作らない理科と料理経験はほとんどないというミリンちゃんの2人では平均か平均を僅かに下回る出来のカレーにしか仕上げることは出来なかった。



3月23日 旋風理科

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