ユグドラシルの定休日⑧
「待たせてしまったみたいだね」
朝8時50分、ユグドラシルのある人間界とは異なる世界に存在する魔法界にある師匠の家の隣の公園にチョコとクッキーくんは集まった。
「待っていないよ。チョコも今来たところ」
「そろそろレッドさんが来る頃だから、合流して師匠の家に乗り込むとしよう」
それから5分後、師匠の家に荷物を宅配に来たレッドさんと合流したチョコたちは師匠の家の敷地に入った。
「アンコさん、おはようございます。レッドです。お荷物お届けにやって来ました」
「はいはい、今出ますよ」
家の中から師匠の声が聞こえて、チョコが何度訪れても開くことの無かった師匠の家の扉はとても簡単に開かれた。
「師匠!」
チョコは師匠の顔を見た瞬間、レッドさんの背後から飛び出して師匠の胸へ目掛けて飛びかかっていた。
「おっと」
師匠は少し驚きながら、飛びかかっていたチョコの頭を片手で捕まえた。
「レッドくん、私はこんな大きな荷物を頼んだ覚えは無いよ」
「申し訳ありません。クッキーくんがどうしてもと仰っていたので」
「チョコじゃなくてクッキーまで来ていたのかい」
師匠はまだレッドさんの後ろに隠れていたクッキーくんの姿は見えていなかったみたいで、クッキーくんがレッドさんの背後から顔だけ覗かせると呆れたようにそう言った。
「レッドくん、私が注文していた荷物も持って来ているだろう? まずはそれを貰うよ」
師匠はチョコの頭を掴んでいない方の手で受け取りのサインと商品の料金を支払った。
「では、わたしはこれで失礼します」
「またよろしく頼むよ。さぁ、あんた達は私に話があるからこんなおバカな方法を使ってやって来たんだろう? ほら、入りなさい。私に会えたご褒美に愚痴くらいは聞いてあげるよ」
師匠は口では嫌そうな雰囲気を出しながらも、嬉しそうな表情を見せてチョコたちを家の中に入れてくれました。
3月7日 チョコ
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