世渡のよろず屋⑦

「サファイアくん、ただいま」


 店番をサファイアくんに任せて少しユグドラシルの外へ出かけていた僕は大きな荷物を持ってよろず屋へ帰ってきた。


「世渡さん、お帰りなさい。って、何ですかその荷物は」


「これはね」


 笑美を隠しきれぬまま、台車に乗せて持って帰って来た荷物を店内に入れようと試みたが僕一人の力では荷物を支えることが出来なかった。


「世渡さん、このサファイアもお手伝いさせていただきます」


「ありがとう、サファイアくん」


 店主として情けない姿を晒しながらサファイアくんに手伝ってもらい、僕は荷物を店内に運び入れた。


「これは、サファイアくん。君専用の机だよ」


 店内には僕が使う机とは別にサファイアくんが持ち込んだちゃぶ台があるのだが、はっきり言って部屋の雰囲気とは合っていなかった。


「良いのでしょうか?」


「当たり前だよ。サファイアくんはこのよろず屋の従業員なのだから」


 僕がそう言うとサファイアくんはとても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。



2月25日 不知火世渡

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