111話 戦略的撤退!


 なぜ? どうして? どうやって?

 このポンコツはいかにして我が聖域の一つであるこの寮に入り得たというんだ!

 しかもあろうことかこの食欲そそる香りが立ち込める夕飯時にエプロン姿でおたままで片手にして。

 どう見てもこの寮に馴染んでるじゃねぇか。


「あ、師匠! 帰ってきてたんですね。セフィラさんから話は伺ってましたけど、それならもっと早く戻ってきてくれてもよかっ……」


 と、若干放心している私の視界にひょこっと、部屋の奥からこちらに親しげに話しながら歩いてくる人物。

 我が一番弟子であるレオン・アークナイトだ。


「お前の手引かゴルァ!」


「ぐええ……!? な、なんですかいきなり!?」


 セフィラと親しげに話す裏切り者の首根っこを掴んでぶんぶん揺する。

 まぁ裏切り者と言っても実際にはレオン達には何も伝えていないから別に裏切りというわけでもないのだが。


「ちょっと、五月蝿いですわよ」


「む、エリーゼ。お前も裏切り者か!」


 奥から現れた縦ロールの髪型が特徴のいかにもお嬢様といった出で立ちの女性、この寮のリフォーム発案者であり最早家主といっても過言ではない人物だ。


「何を裏切ったかわかりませんが……とにかくレオンの顔が青くなってきたのでそろそろ放してもらえるかしら」


 レオンの顔を見てみると、これまた真っ青に変色していた。

 まぁそろそろ本格的に話を効かなければならないだろうし、レオンを責めるのは一旦後回しにしておこう。


「ぐええ……まったく、一体どうしたんですか師匠?」


「どうしたもこうしたもあるか……どうしてこのポンコツがここにいる」


「ポンコツゆーな!」


 事情はどうあれ、この寮のメンツは人族主義の筆頭である“女神政権”の関係者にはいい顔をしない人物揃いのはず。

 皆がセフィラの正体を知っているかどうかは怪しいが、何処の出身かでも分かれば察しがつくとは思うのだが……。


「あら、薄情なお方ですのね。あなたを訪ねてわざわざ遠くから一人でブルーメまでやって来た彼女に対してそんな言い方はどうかと思いますわ」


「そうですよ師匠。セフィラさんに失礼です」


 ……ん? こいつらのこの反応……もしかして。


「……なぁお前ら、こいつがどこの誰だか知らないのか?」


「え? 師匠が以前立ち寄った村で、魔物に襲われてるところを助けたのが出会いのきっかけですよね?」


「まったく、いつも女性に好かれたいと口癖のように呟いておきながら、あなたを慕っている方には気づかない……なんて。罪なお人ですわね」


 いや、そういう鈍感系主人公はレオンや星夜でお腹いっぱいだろう。

 ……っつーか。


チラッ


「……」


 この話題の当の本人、嘘つきポンコツ女神は頬に汗を垂らしながらこちらから目を背けている。


「だ、だって仕方ないじゃない。あたしがあなたのこと探してるってギルド伝わっちゃって、そしたらこの人達が快~く丁重にもてなしてくれて、話をしてるうちに「あ、この人達“女神政権”のこと嫌ってる」ってわかっちゃったんだから嘘つくしかないじゃない!」


 と、こちらにずいっと近づいて小声で事の顛末を説明するセフィラ。

 ま、確かにそんな状況で「あたし“女神政権”の親玉です」なんて明言したらどう考えても一気に険悪ムードまっしぐらになること間違いなしだろう。


「特に今奥で一緒に料理してる子なんて、女神政権の話題が出ただけで空気が凍るくらい冷めた顔になるんだから」


「セフィラさーん、お鍋の様子見ていただけませんか~」


「ひっ……! は、は~い今いきます~」


 この声は……ああ、なるほどシリカか。

 確かに、この寮のメンバーの中じゃシリカが一番シント王国の人間を目の敵にしているだろうからな。

 シリカにとってシントは辛い過去の象徴であり、今は罪人として囚われている最愛の兄が最も忌み嫌った場所でもある。


「あ、セフィラさん、こっちのお肉入れちゃって大丈夫でしょうか?」


「待って、先に灰汁とっちゃいましょう。そういえば、お醤油ってある? あれ作ってるとこ少なくて地方しか取り扱ってないらしんだけど」


 しかしなんともまぁ……片や憎き故郷の最高位、片や掌握すべき勇者を匿う男の仲間と言ったところか。

 それがああして何も知りもせずに(片方は知ってるが)和気あいあいと料理に勤しんでるとは……。


「では、夕食もそろそろのようですし、わたくし達は席について待ちましょう。それとムゲンさん……男ならキチンと責任はとるべきですわよ」


「けど師匠も隅に置けないですね。あんな綺麗な人にあれだけ思われてるなんて」


「レオン……お前メシの後で久しぶりに稽古をつけてやる。食ったもん全部吐き出すくらいの地獄のハードメニューをな……」


「え゛……!?」




 こうして、いつもの寮のメンバー+セフィラを入れた久しぶりの寮での食事は、料理の美味しさに舌鼓を打ちながら、私の第四大陸での武勇伝やレオン達の最近の近況など会話も弾んで穏やかに過ぎていった……。




「って違ーよ! こんなほのぼのしてる場合かよ!」


 あれからレオンに地獄の特訓を付き合わせ、風呂で汗を思いっきり流してサッパリし、自室で寝間着に着替えて就寝準備を整えたところで今更ながらのツッコミである。


 曲がりなりにも犬を勇者として連れ帰ろうとするセフィラが今この寮にいるんだぞ、というか私の右隣の部屋だったし!

 そんな状況でおちおち寝てたらその隙にあいつは犬を攫ってスタコラサッサとトンズラこくかもしれないし!


「っつーかあの帰宅時から特にアプローチはなかったな……」


 私を油断させる作戦なのだろうか。

 しかしなんというか……あまりにあいつが寮の私生活に馴染みすぎててまったく違和感を覚えなかったぞ。

 セフィラだって馬鹿じゃない(と思う)……こうしてる間にもあいつは虎視眈々とこちらの隙を伺っているかもしれ……


バァン!


「忘れてた! いつものように寝るところだったじゃない! さぁ、勇者をこっちに引き渡しなさい!」


 馬鹿だった。

 先程までの私の深い考察の時間を返して欲しい。

 てか「いつものように寝るとこ」って……どんだけここの生活に馴染んでんだよ。


「つーかそういうこと大声で叫んで大丈夫なのか。あんまり響くと下の連中にも聞こえるぞ」


「あ! そ、そうだった……。コホン……こ、ここからは声量を落として話しましょうか」


 私は最初から声のトーン最弱ですがね。


 しかしセフィラの格好……完全に寝る気満々だな。

 上下セットのピンクボーダーのモコモコフードが可愛らしい容姿に実にマッチしている。

 髪型も三つ編みにして……翌日のウェーブが期待できそうだ。


「さぁさぁ、もう逃げられないんだから。観念して勇者を引き渡す決心はついたかしら?」


 うーん面倒臭い。

 もう夜だし皆寝る時間に騒ぎたくないんだよな。

 しかしこいつも夜遅くまでよくしつこく……あ、目擦った、やっぱ眠いのか。


「なぁ、今日はもう遅いしこの話は明日にしないか。皆寝てるのにドタバタしたら迷惑だろ」


「え? あ、うん、それもそうよね……。うん、そうしましょ。それじゃ明日、今度こそ勇者を引き渡してもらうからね」


バタン


 マジで帰っていった。

 それでいいのか自称女神様よ……。


「なんというか……“女神政権”には気をつけないといけないけど、何かセフィラ自体は気をつけなくてもいい気がしてきた」


「ワウ(でも毎回こんな感じでやってこられるのも正直面倒っすよね)」


「ま、それについては明日考えるさ。疲れたから今日はもう寝る。そんじゃおまむみ~」






-----






バァン!


「さぁ朝よ! ちょっと寝過ごしちゃってもう十時半だけど。今日こそ勇者を新魔族征伐の第一人者としてこちらに強力してもらうから。そのためにあなたにとっても好条件な新プランを……って、あれ?」


 扉を開けるとそこはもぬけの殻だった。

 一瞬入る部屋を間違えたかな? とも思ったが、部屋を出てキチンと確認をしたのでそれはないはず……。


「や、やっぱりこんな時間まで寝てたのがまずかったかな……」


 でも仕方ないじゃない、惰眠をむさぼるのは女神に与えられた特権のようなものよ!

 いつもの食堂の手伝いだって丁度これからだし、朝の寮のことはあのメイドと執事が全部やってくれるから何も心配ないし……。


 うん、二度寝最高!

 って言ってる場合じゃない、ここにいないならまた探さなきゃいけないじゃない。

 それにしても……


「ああもう気になる! 何よこの部屋の汚さ! 一日でここまで汚くなる!?」


 衣服は脱ぎ散らかされ、道具は散らかりっぱなし、資料のようなものは床に散らばって、引き出しは開けたまま。

 昨日夜訪ねた時もそうだけど、すっごく片付けたくなる衝動にかられる。


「うう~……ああもう、しょうがないわね」


 あたしも結構部屋を汚くする方だと自覚はしてるけど、流石にここまでじゃない。

 それに、あたしは「汚くなったな」と思ったらすぐに側近の人に言われる前に片付ける。

 以前異世界から引っ張ってきた片付け術の本を読んでからはもう習慣づいてしまい、こうして汚い部屋を見るとどうも片付けたくなっちゃう。


「まったく……これじゃあのメイドさん達も苦労する……あれ? これって?」


 机の周りに取り掛かろうとしたところ、一箇所だけ異様に綺麗な部分があり、その上には一枚の用紙が置いてある。


「なんか、手紙みたい。え~っと……日本語じゃない、あたしは読めるからいいけど。それで内容は……『ポンコツ女神へ』いきなり失礼ね。なになに……」



これを見ているということはおそらく私はもうそこにはいないのだろう……やーいバーカバーカ。五時起き舐めんなよ。

残念ながらお前に対する返答はすべてNOだ。とはいってもそれで諦めるような奴でないことは私も重々承知している。

なので、これから私はいつ戻るかもわからない長期の任務に旅出させてもらう。

ちな、関係者各位にはお前に私の行き先を伝えないよう根回ししてあるので無駄な努力はやめときな。 byムゲン



「……って何よこれーーー!!」


 その内容は、完全にあいつからあたしへの置き手紙であり、そこにはあたしから逃げるといった風な書き方だった。


「だ、誰か……誰かいるー!?」


 あたしは慌てて下の階に降りた。

 寮の住人なら、このことについて何か知ってるかもしれない。


「あれ? どうしたんですかセフィラさん、そんなに慌てて?」


「あ、シリカ! ちょうど良かった! あのバ……えっと、ムゲン……だったけ? どこ行ったか知らない!?」


 降りたところで運良くシリカに出くわした。

 どうやらあちらもお出かけの様子……ギリギリセーフ、助かった。


「え……ムゲンさんですか? あの人は今朝急に「長期の任務に行ってくる」と言って出ていってしまいましたよ。……というか、セフィラさんにはもう伝えてあると聞いたのですが?」


「え、それって……」


 頭によぎるのは今あたしの手にある一通の置き手紙。

 あいつ……こうなることを予想して予め全部用意してたってこと。

 うわ……あいつの勝ち誇った顔が浮かんでくるようで無性に腹立つ~!


「なるほど……セフィラさん、お気持ちはわかります。想い人であるムゲンさんを今すぐにでも追いかけたいでしょう」


 え? ちょっと待って、何この状況?

 シリカは一体何をトチ狂ったことを話してるの?


「でも、これはあの人なりの思いやりなんです。ムゲンさんは言ってました……「あいつの気持ちは嬉しい……しかし私は常にその身を危険に置く血に汚れた魔導師。戦いも知らない純粋なあいつは、こんな薄汚れた男を追いかけるよりも故郷に戻って幸せに暮らして欲しい……。いつかここから去る私では……あいつを不幸にしてしまう」と……。だからセフィラさんには行き先を告げるなと……」


 見れば、あいつのどう考えても演技混じりで意気揚々と語ったであろう悲恋の物語のような内容を話すシリカの瞳も若干潤んでいる。

 しかし、ここの住人もよくあのホラ吹きの話をそこまで信じる気になったわね……。


※シリカ達はムゲンが異世界だということをセフィラは知らないと思っているので、最後の文が『叶わぬ恋の物語』さが特に強調されて聞こえてしまっている


 しっかし根回しが周到……どこか穴はないかしら。

 ……あ、そうだ!


「で、でも~、あたしのことを想ってくれてるならこんなヒドい文章をあたし宛に送るなんて不自然じゃない?」


「えっと……それは」


 ふっふっふー……どうやら詰めが甘かったようね……。

 そう、あいつが書いたこの置き手紙はあたしへの誹謗中傷がこれでもかというくらい連なれてんだから。

 こんな証拠を残すなんてやっぱあいつもバ……


「あの……これは暗号、ですか? お二人にしかわからない。セフィラさん……失恋したからといってそんな自暴自棄にならないでください。辛いのはお二人とも同じはずですから……」


「え!? どういうこ……あ」


 なぜシリカがこんな反応をしてるのかわからずもう一度手紙を確認すると。


「そっか……これ日本語……」


 日本語とアステリムの言語は似てるようでまったく違う。

 あたしは異世界から取り寄せた日本語学習の教材で数百年前にマスターし、今でも日本の雑誌を頻繁に読んでいるためまったく違和感を感じていなかったけど、通常日本語はこの世界の人間には通じない。


「し……してやられた~!」


 ああもう! これも全部計算ずくだっていうの!

 これじゃあ昨日頑張って考えた懐柔計画が全部パァじゃない!


 最近仕入れた異世界の小説では、あいつみたいな異世界から召喚された男は、“あたしみたいなかわいい女神様”と旅ができるって特典があればホイホイ魔王討伐の旅に出るって書いてあった。

 だから、その豪華特典をつけてあげればあいつと一緒にいる勇者も必ず一緒についてくる! っていう完璧な計画だったのに!


「はぁ~……またいつまで待つかわからない生活が続くの~。シリカ~、それじゃ今日も夜皆で今まで通りゲームしよ。今日の仕事はいつごろ終わるの? 夕食の下ごしらえはあたしとフィオで済ませとくか……」


「あ……セフィラさん、そのことなんですけど……」


 ありゃ、どうしてか急にシリカがバツの悪そうな顔をしてる。

 おかしなこと言ったかな? いつも通りの一日の予定の話をしただけなのに……?


「な、何かマズいことでもあった……?」


 実はあたしの正体がもう皆にバレてるとか!?

 でもそれだったらもっと別の態度だろうし……。


「すみませんセフィラさん。今日から暫くは、私達の分の食事の支度もしなくても大丈夫です」


「え、な、なんで!? あたしが何かマズいことした!?」


 も、もしかしてこの前エリーゼのケーキ勝手に食べちゃったことまだ怒ってるのかな……。

 それともシリカのシャンプー全部使っちゃったことかな……。


「ごめん! あの時のことならもう反省してますから! だから仲間はずれだけはどうか……!」


「いえいえ、そうではなくて……。実は、今日から私達も少々期間の長い任務に付くことになりまして。暫くは戻らないんです」


「はえ……?」


 なんだ~、長期任務か~。

 ってあれ……てことは使用人さん達を除くと暫くここにはあたし一人だけ……。


「ですので、無理にとは言いませんが、セフィラさんもこの機会にもう故郷へ戻ってはいかがでしょうか。諦めきれない想いもあると思いますが、ここはムゲンさんの気持ちも尊重してみてもいいのでは……と私は思いますよ」


「え、ちょ……」


「それでは、もう時間なので。いつかまたどこかでお会いしましょうね」


 そう言ってシリカはそそくさと行ってしまった。


「え……うそ、あたしどうしたらいいの……」


 勇者と馬鹿魔導師にはまんまと逃げられ、頼みの綱の友人達も暫く戻ってこない。

 あたしこれから、何をすればいいの?


「……はぁ。とりあえず、食堂の手伝いにいこ」


 すでに時間は正午に差し掛かろうとしていた。

 とりあえずあたしの最後の相談相手、おばちゃんの待つ食堂へと、あたしはトボトボ歩いていった。






-----






「ハッハー! まんまと出し抜いてやったぜー!」


 今頃あのポンコツ女神は大慌てだろう。

 まさか帰ってきて一日でギルドを出発するとは思わなかったが、それもまた結果オーライ。


「ガウン?(にしても、もうちょっと計画立ててから出発したほうがよかったんじゃないっすか?)」


 私の足の下から疑問を投げかけてくる犬。

 現在は移動中のため犬には変身してもらって中央大陸内を大横断中だ。

 これならたとえ早馬で追いかけてきたとしても追いつかれることはない。


「まぁしかし、ろくに計画なしに飛び出してしまったことには反省している。急ぎだったから第一大陸へ行ける任務がこれ一つだったのは予定外だったな」



クエスト:第一大陸のとある村より救援

難易度:不明

正体不明の凶悪な魔物の存在により脅威にさらされている村へ救援へ向かうこと

詳細は『魔導師ギルド第一大陸西武支部』より伺ってください



 正体不明の驚異的な魔物というと人工魔物が思い浮かぶが、なた新魔族かなにかが関係してるんじゃなかろうな……。


「兎に角行ってみないことにはわからない。できればこの依頼はさっさと終わらせて、私は"魔導ゲート"のエネルギータンクに使う鉱石を採掘しに行きたいんだがな」


 というか今回の旅の目的はそちらがメインだ。

 少しづつ日本に帰るための準備が整いつつあるんだ、なりふり構わず突っ込んでいけばいいさ。


「ガウガウ(でも本当にこんな逃げ出す形で出てっちゃってよかったんすか。セフィラさん、ポンコツだけど悪い人じゃないっすよね)」


「これは戦略的撤退というのだよ……」


 だがまぁ確かに……セフィラはどうしようもなくポンコツで無責任なところはあるが、根っからの悪人ではない。

 もしかしたら和解の道もあったかもしれないが……。


「生憎だが、やはり目的が噛み合わない。これ以上は平行線だ。……まぁ、残念といえば残念だが」


 今後私の人生において、あれほどの美少女と出会えるかどうかもわからないというのにな……。

 ぐぬぬ……やはり勿体無いことをしたかもしれん。


「ま、これからあの寮にはあいつ一人だし、寂しくなったらお家に帰るだろ」


「ガウン(そういやレオンくん達も長期任務なんすね)」


「ああ、なんでも中央大陸南部の大帝国、『ヴォリンレクス』ってとこに向かったらしい」


 私もあの国にはかなり興味はある。

 中央大陸の三大国の一つであり、その中でも抜きん出て巨大な帝国。

 その戦いの歴史は長く、今なお対新魔族の最前線の国としてその名を轟かせている。

 言わば新魔族にもっとも近しい国とも言える。

 ま、詳しいことはレオン達が帰ってきた時にでも聞けばいいか。


「それよりも今は私達の問題だ。ほれほれ、もっと早く走らんと日が暮れる前に町につけないぞ」


「ガウ……(まったく、犬使いの荒いご主人っす……)」


 なにはともあれ新しい旅のはじまりだ。

 気持ちを切り替えて行こうじゃないか。


「それでは行くぞ。向かうは第一大陸『エーカム』だ!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る