動乱7 ところでお前はわしがいないのに、ここに出入りしていたのかと聞くと、ああ、お雪さんに時々飯を食わして貰っていた、飯屋だけだとあきが来るからなと言うので、お


動乱7


ところでお前はわしがいないのに、ここに出入りしていたのかと聞くと、ああ、お雪さんに時々飯を食わして貰っていた、飯屋だけだとあきが来るからなと言うので、お雪が竜馬殿に良い、

儲け口を教えて貰ったのですよ、和英字引と和蘭字引の写本です、もう5冊づつ写本して、1冊づつは私が勉強する為にもっていますが、あとの4冊づつは書物問屋に持ち込み一冊20両で引、

き取ってくれましたよ、


お陰で160両の蓄えが出来ました、いままで蓄えていたのをあわせれば220両になります、兄上の国事にお使いなされと言うので、それではもう、なさぬ仲なのかと聞くと、竜馬が違う、

違う、お前の留守にそんな事やるわけないだろうと言うので、良いのだよ手をつければ竜馬の嫁に貰ってもらうだけだと言うと、お雪が竜馬殿は国事に奔走しているのです、嫁は邪魔、

になりますよと笑ったのです、


もう直ぐ夕餉ですよ、お2人で湯にでも入ってきてくだされと言うので、連れ立って湯に行ったのです、湯から上がり上がり酒を飲み、竜馬にお前は今何をしているのだと言うと、勝先生、

が塾を開いているので、塾頭をやっている、エゲレス語とオランダ語を教えている、その他に、勝先生の用事で越前公、島津公、伊達公に会っている、橋本佐内、藤田東湖、横井小南、

とも会っている、


この前は長崎に行き西郷とも会ったぞ、橋本佐内は殺されてしまい、西郷は奄美大島に隠れているそうだが、今頃は呼び戻されているだろう、帰りに下関で長州の高杉晋作、桂小五郎に、

も会うてきた、長崎へは今度操練所で使う観光丸、黒竜丸を江戸に回航するためだ、黒竜丸は帆船だが、観光丸は蒸気機関を装備している、今神戸は操練所の建物と港を整備している、

出来上がり次第に行く事になる、


おまえも一緒だ、ただ幕府は長崎操練所の半分しか費用を出してくれんそうだ、勝先生が金を借りてきてくれと言うているので、明日越前公の屋敷に行き無心する積もりだと言うので、

いくら借りるのだと聞くと、2000両を貰うのさと言うので、くれるのかと聞くと、多分大丈夫だと思うと言って、お前も一緒に行こう、顔つなぎには良いではないかと言うので、郷田、

さんから、


暫く休んで良いと言われている、同行しょうと言ったのです、会津公は将軍と一緒に、行く予定だったが、京都の様子が騒がしいのですでに京都に入り、御所の警備に入ったそうじあ、

何か起きなければよいがと言うので、何を心配しておると言うと、不貞浪人を陰で操っているのは、長州と土佐だ、この二つの屋敷に逃げ込まれては手は出せぬからな、会津の藩士が、

頭にきて騒動を起さねば良いがと言うので、


土佐の武市半平太は、お前の盟友だろう、なぜ過激に走るのだと聞くと、土佐勤皇党はいずれも軽輩な連中で、上士は武市だけだ、わしとは道場の同門だが、山内公は相手にしないので、

公家の力を利用して藩論を勤皇にしているのだ、変節間の強い人なのでいつ弾圧にまわるか分からん、土佐勤皇党は開国論者の参政、吉田東洋を暗殺しているからな、今は公家とつるみ、

力があるからいいが、


それがなくなれば、何をされるか分からん、気をつけるように言うているのだが、今は時流に乗っているので聞く耳はもたんのだよと言うので、お前は開国論者と見られているのではな、

いか、よく切られないなと聞くと、あの連中は昔からの知りあいだ、武市の盟友の俺が切れるものか、奴らは武市の下知にしたがっているだけさ、勤皇の志士とはそう言ったもんだ、


本当の攘夷と開国を、わかっているのは、極少数と言うわけだよ、まあ、時流に乗りたいやからの、集まりと言う事だなと言うので、頭次第と言うわけだなと言うと、頭が勤皇なら勤皇、

佐幕なら佐幕と言うわけじあよと笑ったのです、翌日は越前松平公に会いに行くと言うので、裃は入らぬのかと聞くと、そんな硬苦しい格好はしなくて良いと言われているので、大丈夫、

だよと言うので、


羽織、袴姿で上屋敷に行くと、直ぐに通されて、越前公が現れて座るので、南町同心、神埼新太郎、に御座いますと言うと、おう、そなたが神埼新太郎か、竜馬から、聞いておるぞ和英、

和蘭の辞書を持って勉学しているそうじあな、これからはエゲレス語が大事じあ、もう喋れるようになったかと聞くので、大体は大丈夫と思いますと言うので、そうか、神戸操練所に入、

るそうじあなと言うので、


ハイ、遅ればせながら操船術を、学びますと言うと、これからは列強に匹敵する海軍が必要じあからなと言って、新太郎を引き合わせる為だけに来たのではないだろうと竜馬に聞くので、

ハイ、これを2000両で引き取って、貰いたいのですがと渡すと、手に取りこれは和英、和蘭の字引ではないか、これを2000両で引き取れと言うのかと言うと、ハイ、神戸操練所の賄いの、

足しにしたいので御座いますと言うので、


ハハハハ勝が無心して来いと、言ったのであろう、仕方ない引き取ってやろう、勝も微禄の出ゆえに幕閣も軽くみているのであろう、困ったもりじあな、傍にいた用人に帰りに持たせて、

やれと言うと承知しましたと言うので、2人でありがとう御座いますと頭を下げると、上様が攘夷を約定するのに京に登られたが、約定して江戸に帰られるそうじあと言うとうので、


竜馬がそんな約定したのですか、と聞くので、適当にお茶を濁したのじあよ、本当にやるはずがないと言うので、新太郎がそのような約定をすれば、過激な長州等は下関海峡を通過する、

外国船を砲撃しますよ、そうなれば列強の反撃にあり海岸の砲台は壊滅して、上陸されて領土を占拠され、多額の賠償金と土地の割譲を要求されるますと言うと、そうならないと分から、

ぬ連中なのだよと言うので、


過激な者どもは攘夷が目的ではなく、騒動を起して幕府の力を弱める事にあります、賠償金を要求されれば幕府が命令したので幕府からとるようにと言い立てるでしょう、列強はしめた、

と思い、色んな要求を幕府に突きつけますと言うと、中々鋭い考察じあな、その通りなのだが、幕閣の重臣は全然分かっていないのだよ、若手公家が過激な者と組んでいるのは、金を、

長州、土佐から貰っているからじあ、


幕府も朝廷工作に金を使えば良いものを、幕府の威厳をちらつかせれば、朝廷は言う事を聞くとの慣例が頭から離れないのじあよ困ったもんだと言って、一番面白くないのは薩摩じあ、

な、長州と土佐に出しぬかれているからのうと言うので、薩摩の西郷は策士と聞きます、京都に戻れば何かをたくらむと思いますがと言うと、そうじあな、さしずめ、会津と手を組み、

長州、土佐を京から追い落とすかも知れんなと笑ったのです、


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