Chapter9 『行くぞ』 9-8

『柔らかに揺れる。 深い紺色の、短いソバージュの髪。』


『表情は、どうしても思い出せない。』


『恐怖だけが残り、あの日何が起こったのか、前後の出来事が思い出せない。』


『それでも・・。 失いたくない記憶だった。』


『忘れてはいけない気がした。』


『だから、僕は。 聖と行くと決めたんだ。』


『FOTのメンバーと、メンバーが認め、許された特別な関係者だけが。


“闇”に関わる、記憶を保持することを認められているからだ。』


『それに・・。』


『聖は、僕に約束してくれた。』


チリッ・・


(夏樹は、ワイシャツの上から、服の内側に隠れて見えない。 

胸元にかけた指輪を握りしめた。)


「菖蒲。」


(夏樹は、菖蒲の気遣いに気づき、微笑んだ。)


「“闇化”を防ぎたいな・・。」


「“闇”に遭遇して、その被害にあう事も防ぎたい。」


「橘さんに悪いけど・・、“闇化”してしまった人や、

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