Chapter9 『行くぞ』 9-5

(潮風は、ゆっくりと、紺色の髪を揺らす。)


(マジックミラーの車窓越しに、紺色の瞳に、一人ひとりの姿を焼きつけ

意識を集中した。)


『誰だ・・。』


『誰の中に、眠っている・・?』


「なぁ、菖蒲。


この街の、全員の中に、時の欠片が眠っていることもあるかな?」


(夏樹は、独り言のように呟いた。)


「え?」


「・・そうですね。 静乃さんの話では、そう考えても


おかしくないですね。」


(菖蒲の表情が曇った。)


「どうして、この街に、そんなに集中しているんだ?」


「それに、どうして今この街を見つけて、ターゲットに指定したのかな。」


(夏樹は菖蒲をバックミラー越しに見て、話した。)


「さぁ。 分かりません。」


「ただ、タイミングなのだと思います。」


「静乃さんが言っていました。


いつ“闇化”が起こるのか。 日時まで予測は不可能ですが、

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