Chapter6 『執事の本音』 6-4

(引き出しは、空ではなかった。)


(奥には、古びたフォトフレームが横たえて置かれている。

影に隠れて、写真は見えない。)


(聖はそっと、フレームの隣に、金色の拳銃を納めた。)


(拳銃から、フォトフレームに長い指先を移し、触れる。)


「・・・・っ。」


(口元が小さく動き、何か語りかける。)


「急がないと。 朝食に遅れる。」


「夏っちゃんは、風呂短いから。」


(聖は眩しく光る、小さな欠片を胸ポケットに仕舞い。 フォトフレームを裏返した。)


パタンッ


カチャンッ


(引き出しを閉めると。 右手にはめた、金のアクセサリーの中の一つ、

金色の鍵の飾りを手に取り、引き出しへ鍵をかけた。)


(颯爽と部屋を出ていく聖の、上着に、いくつもの金の装飾が煌めいた。)


***


カッ


(ダイニングへ向かう通路に、晃が足を踏み入れると。)


(その扉の前で、晃を待つ人影があった。)

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