Chapter4 『不器用』 4-6

(華やかな女性らしいワンピース姿の葵は、まるでどこかの令嬢に見えた。)


(淡い紫の髪が、ふわりと腰まで流れ、大人っぽい魅力を醸し出している。)


「わらわもじき追いつくぞ。」


「艶さんは、美人よ。」


(側に来て、葵は艶に微笑んだ。)


「葵・・。」


(艶は少し頬を赤らめ。 大きな漆黒の瞳に、流れる黒髪。 子供ほどの年齢に

見えたが、

たしかに、美しかった。)


「艶、家来はどうしたんだ?」


(後ろからやってきた光が、艶に尋ねた。)


(飾らなく、シンプルな服装の光は、葵と並ぶとちぐはぐだったが。)


(背が高く、凛とした光の雰囲気が、葵を包みこんでいた。)


(艶は、二人を見て、羨ましいと思いながら、空のお皿に頬杖をついた。)


「あの馬鹿は、バスルームの廊下で寝ておる。」


***


「うわっ、びっくりした。」


(廊下の角を曲がったところで、夏樹は驚いた。)


(古びた、木製の廊下のど真ん中。 今は灯の入っていない、硝子のランプの下で、

仰向けに長身の身体が横たわっている。)

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