Chapter4 『不器用』 4-4

「幸せをもたらすもの。 それを探しに、


誰かが今日出かけていく。」


「・・俺には分からないよ。」


「そのうち分かるわ。 ふふっ。」


(葵は微笑んだ。)


***


「遅い!」


(ダイニングの長テーブルを前に、小さな少女が文句を言った。)


(両手にフォークとナイフを持ち。 今にも食べる臨戦態勢だ。)


(小学生程の体系の少女は、真っ赤なワンピースに、赤い靴。 それに映える

真っ黒な長髪だった。)


(黒くしなやかなストレートの長髪は、まっすぐに整えられ、艶やかだ。)


(頭上には、大きな赤いリボン。 リボンには、他のメンバーと同じく。 

Fの文字を象った鍵のような紋章、鍵の両脇には、赤い翼が生え。 

FOT No.5と描かれている。)


「はっはっ。 姫、そう慌てるな。」


(豪快な声が、テーブルの向かいから聞こえた。)


「剛。」


(剛は、姫と呼ばれた少女と比べると、あまりに大柄で筋肉質でたくましい。)


(短く刈られ、乱れた茶色の髪に、軍人の様な服を身にまとった姿は、荒々しく、

粗雑に見えたが。

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