Chapter3 『僕の家』 3-9

能力者の中で、一番その恩恵を受けてるのは、もちろん聖君ね。」


「! 僕はそんなつもりないけど。」


「くすくすっ、愛は奥深いの。 表面には見えないものよ。」


「・・もう良い。 聞いた僕がばかだった。」


「はははっ。」


(心配した気持ちが消えて、菖蒲は思わず笑った。)


「菖蒲っ!」


「すみませんっ。」


「ほら、着いたわよ。 大好きな家族達の居る場所へ。」


(道の先に光が見え始めた。)


(黄色の光が、別の空間へ到達することを示していた。)


(思わず、晴れやかな気持ちになって。 一歩踏み出しながら、

夏樹は光の先を見つめた。)


『その先が、もう一つの僕の家。』


『そこから出る事は許されないが。』


『物心ついた頃から、そこが僕の家で、安らげる場所であり。』


『聖と、僕ら、FOTの仲間が暮らす、屋敷だった。』


***


チュンチュンッ チチチッ

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