目蓋を開けてみる夢は
カゲトモ
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「今年も一年、お疲れさまぁ!」
「お疲れ~!」
「お疲れさまです」
「お疲れさま」
あちこちで乾杯が交わされた。今日は俺たちも仕事納めで、ミケのとこと一緒に年に一度の忘年会だ。今年の会場はミケの店。去年は俺の店だった。
なんだかんだこうやって飲む機会が多いもんだから勘違いされやすいけど、ミケとオレは仲間以上の関係ではない訳で! おい、そこの新入り、勘違いすんなよ!
「えー、ママとはなさんは恋人同士じゃないんですかぁ?」
「「誰がこんな奴と!」」
「あ? どのつら下げて言ってんだ」
「それはこっちのセリフよ! 勘違いされたんだから少しくらい嬉しそうにしたらどうなの!」
「てめぇ鏡ってもんを知らないのか」
「うるさいわねぇ!」
「信じらんないよね? こーんなに仲良しなのに」
「「ミヨは黙ってろ!」」
はぁ~い、とへらへら笑いながらつまみのポテチを口に含んだミケは、グラスを持って斉藤君の隣に腰を下ろした。
「隣失礼しま~す」
「斉藤君にちょっかい出すなよ」
「出さないよぉ、信用無いなぁ」
「お前のことだからな」
「ひっどーい。俺、彼女いるって。ねー?」
「ぁ、そう、でしたね」
斉藤君はどこか引いているし。ミヨは見た目がまさに女の子な、奇跡の男の娘だ。中身は悪戯好きな小憎たらしい立派な男だけど(ミケが言うにはアレも立派だったとか・・・)。何かとずるい奴で、以前斉藤君はあっさりと騙されている。素直な子だから。
ミケが経営しているのはオネェスナックだ。だから今、店の中にはネコ耳を着けたオネェさんが一杯なわけで。
「斉藤君もこっちの世界に来てもいいのよ?」
「あ、う、今は、まだちょっと、大丈夫です」
こらこら、ノンケにかまうな。
「だって斉藤君可愛いんだもん」
斉藤君の顔を見ろ。怯えているじゃないか。
「はいはい。それより、なんか面白いことないのか」
「え?」
「顔以外で」
「だまらっしゃい!」
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