奇しくも事実は
由良辺みこと
都々楽ツユリ
私が彼と初めて出会ったとき、彼はまだほんの幼子だった。背に負うことは容易く、手を繋ぐには少しかがまなければならなかった。
次に出会ったとき、彼は十代かそこらの少年だった。手を繋ぐことに不便はなかったが、彼は私に負われることをひどく嫌がった。
そして今、彼は私の身長を遥かに超える立派な青年となった。私の手を引き、重荷を抱え、底の見えない瞳で笑うようになった。
何の変哲もない時の流れである。
しかし、奇しくも事実とは、小説よりも現実を逸しているものなのだ。
――都々楽ツユリ
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