Étudiante Interdimensionnel
桂 守秋
第1話-A ハタンの訪問者たち The red die shows the one
季節はまだ春。この間袖を通したばかりの、真新しい制服に
孝仁は途中で一旦立ち止まり、膝に手を当て大きく息を吸い込んでは吐き出した。ぜーぜーと荒い息を続ける。彼は運動には自信がない。休憩を終えると、彼はまた体を伸ばし走りはじめた。身長は 170 cm ほど、太りも痩せもしていない標準的な体形だ。走るたびに少し長めの前髪が上下に揺られる。
「早く帰って読みてー」
つい口から願望が飛び出した。読みたいとはその手に提げている袋の中身のことである。今日は、彼が
「あー、こんどのっ小説はっどんなストーリーっなんだろう?」
誰に
「表紙はっかなり好みっだったからっ楽しみだなぁ」
それは、彼の小説に対する期待の表れであった。その作家は「
息をきらしながら走っていた孝仁は、あるマンションのエントランスで足をとめた。ここが彼の自宅である。
自宅へと戻った孝仁は「ただいま」も言わず、部屋に入ると小説を取り出して、ベッドに
「ファンタスティック・フォーチュン 大宮あやの」
表紙を眺めた孝仁は一ページ
しかし、ページを捲った瞬間に強い発光。孝仁は眩しくて思わず目を閉じ、本を投げ出す。と、次の瞬間には、
「ぐえ」
下腹部に思わぬ衝撃を受けて情けない声を上げてしまう。何が何だかわからないまま再び目を開けた孝仁の顔の前には、美少女の顔があった。ベッドの上に仰向けに倒れる孝仁に、馬乗りになった女の子。長い黒髪はツインテールになっていてゆったりとしたカールを描いている。肌は白く透き通るようで、それをゴシックロリータの衣装が包み込んでいる。そして、恐怖、不安、あるいは戸惑い、そうした感情に揺れながら孝仁を覗きこむ金色の瞳。孝仁は言葉をなくし、ごくりと唾を飲み込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます