第2話♢リアライズ:2

起信十二法きしんじゅうにほう?今まで聞いた事も無い


「なあ、神様起信十二法きしんじゅうにほうてっ何の事だ?」



起信十二法きしんじゅうにほうそれは、我々神に定められし断り簡単に言えば神達が守らなければならない掟みたいな感じのものです。)



「神に定められし断りか」



神様は、難しい顔をして結城の目をしっかりと見つめ俺の心を読み取っている。

そんな事は今の俺にとって何の問題も無い今の俺に大事なのは神の知恵ストールがどれだけの能力を持っているかと言う事だけ



「神様、『起信十二法』きしんじゅうにほうとか何か知らないけどさっさと神の知恵ストールの力を俺に授けてくれ」



(まあまあ、そんなに焦らずに聞いて下さい結城さん神の知恵をストール授かるのに従って結城さんの体にどの位の異変や負担が掛るか試してみましょう!)



「え?神の知恵ストールてっ体に負担が掛るのか?」



(ま、まあそんな大した事無いですよ少し髪の色や目の色が変わるぐらいですよ)



髪と目の色が変わるのか、まあ その程度の異変なら大丈夫だろう

結城が、その負担を受けようと神様に話かける為口を開こうとしたその時、神様が明後日の方向を向きながら小さい声で何か聞き捨てならない問題発言を口にしたのを結城は聞き逃さない


そう、あの神様は(まあ、たまにスライムとかになったりしますが大丈夫ですよ、うん大丈夫……大丈夫)と俺に聞こえない様に小声でそう呟いていた。



「おい 神様、スライムてっどう言う事だ?」



俺が、そう口にすると神様は額に汗を垂らしながらピューピューとけして上手とは言えないそれ以前に、完全に下手な口笛を吹いて誤魔化ごまかしている

そんなので誤魔化ごまかしているつもりなのだろうが全くもって誤魔化ごまかせて居ない、こんな鈍感な俺でさえも



(ま、まあ!多分……大丈夫ですよ!)



「本当に大丈夫なのか?」



(は、はい!安心安全です!)



いつからであろう人間の俺が神より上の立場に変わっている。

そんな事は、さて置きそろそろ神の知恵ストールを授かりたいのだが

結城は、結城に安全な事を信じて貰えず未だにあたふたしている神様を見て口から大きい溜息が漏れた。



「そんな事はどうでもいい、ねえ神様早く神の知恵ストールを授けてくれないかな?」



(はい!わかりました!)



神様は、いい返事をした後下を向いて小さい声で何かを呟き始めた。

その言葉は、一度も聞いたことが無い不思議な言語いや『詠唱』を



(全ての神よ……今この場に居る選ばれし人間に神の知恵ストールを授けたまえ光の恩恵ディオラス・オブ・ゼクト!!)



そう神様が大きく頭の上に手を上げ、大きい声で叫ぶ、それと同時に真っ白な空から大きな魔法陣ラムダスが組まれていく大き過ぎて俺の視界に収まらない程だ。

結城は、そんな魔法陣ラムダスを見上げたまま腰の力が抜けて地面に座り込む



(はあ!!)



神様は俺の方にパワーを込めた手を力強く向けて来る。

大きい雷が俺の身体に直撃し、なんだ?

何だか、いじめられている内にどこかに落として来た心の暖かさを強く感じる。



「これが、神の知恵ストールなのか」



(おお!成功です!)



そう、これが神の知恵ストールの力この力は余りにも強大な為、この能力は神でさえも操れないのだとか



「なんだか、身体が軽く感じる」



(それも神の知恵ストールの能力だと思います。)



これも能力なのか他にも色々試したが身体が軽くなった事以外、特に変化は無く感じる。



「神様これだけか?神の知恵ストールの力は」



(いいえ……まだまだありますよ)



神様はそう呟くとまた何だかんだ良く分からない言語を話し出す。

俺が瞬きまばたきをし目を開けるとそこにはさっきとはまるで違う世界が広がっている

太陽の光が大地に広がる草原を優しく照らし、丘の奧にはとても綺麗に輝いている湖……そんな幻想的な世界



「ここは?」



(ここも私が作り上げた世界ですよ)



「この世界もか、ここがフロントてっ訳じゃないんだよな神様?」



(はい!全然こんな張りぼて世界とは比になりませんよ!)



その言葉を聞いて、とても楽しみってほどじゃ無いけどまあまあ面白そうだなあと思う。

ところで何故俺をこんな世界に連れて来たんだ神様は

特に理由はない訳では無いようなのだが



「神様なぜ俺をこの世界に?」



俺が、そう尋ねると神様は忘れていたのかはっ!と思い出した表情で俺の事を笑いながら見つめてくる。



(忘れてなんかいませんよ!ええ!忘れてなんか!)



額に汗を一滴たらしながらそう言っているため、全く説得力が無い

真顔で見つめている俺の顔を見て、慌てて話を変えた神様はやっと神の知恵ストールの話をし始める。

ここまで、話をもって来るのにどれだけ時間が掛かったのだろうか?計り知れない。



(そ、それで……ここに連れて来た理由は、あの湖で水龍ウォーター・サーベントと闘ってもらうためでもあり水面に映る顔を貴方自身で確認して貰うためです。)



水龍ウォーター・サーベント?なんだそれ?」



(まあまあ!見たら分かりますよ!)



見たら分かる嫌な予感がするのだが

神様が、俺の背中を強くおして来るので自然と足が前に踏み出てそのまま俺は、神様に押されたまま湖に辿り着いた。

やはり近くで見てもかなりの美しさだ一度も行った事がないけれども沖縄の海にどこはかとなく似ている。

顔を水面に写し自身の顔を確認する。覗き込むとさっきの世界の自分とは思えない顔に変わって驚愕して動けない。


瞳は、綺麗に輝く青色

髪の毛は、純白の白……と言うよりは銀髪に近いのかもしれない

眼鏡は消えており、裸眼でも遠くまで見渡せる。


冗談抜きでかなり驚いた。まさかここまで顔や髪の毛が変化するとは思ってもいなかったからな

俺は、永遠と言える程自分の顔を眺めていたかったのだが神様はそんな事はお構いなしに話を進めて行く



(さあさあ!そろそろ水龍ウォーター・サーベントちゃんと闘って頂きます!)



神様がそう発言した途端、湖の水面が激しく波打ちはじめるゴゴ、と言う地響きと共に

なんと湖の中から出てきたのは、全長100メートルはありそうな巨大な蛇ではなく全長50センチ程の可愛い蛇の赤ちゃんであった。


俺的には、蛇の赤ちゃんも十分脅威なのだけれど……こんな小さい蛇を殺すのも気が引ける。



(あっれえええー?何ですか!な小さい水龍ウォーター・サーベントは!!弱々しいにも程ってもんがあるじゃないですか!)



なぜか俺に向かって文句を言って来る神様……別に俺が悪い訳では無いと思うのだが



「ええ……」



(ああ!もういいです!さっさと、異世界転生の準備しちゃいます!)



「おいおい!ちょっと待て」



そんな、馬鹿な事を言っている神様を全力で止めに入る結城



(もーー何ですか!)



「ま、まだ神の知恵ストールの能力を確かめていないぞ!」



(あーじゃ、さっさと確かめて下さい)



そう適当に吐き捨てると、神様は謎のゲートに手を突っ込み何かをゴソゴソ探している。

そして、ようやく見つけたのか喜びながら俺に光り輝く聖剣を手渡す。その剣は、余り重く無いのにかなり頑丈な感じに見える。


どこからどう見ても、伝説の剣にしか見えないのだがそんな簡単に渡していいのだろうか?



(その剣を湖の方に振り落として見て下さい)



「え? あ、うん」



そう言って軽く頷き俺は、湖の湖面に向けて大きく剣を振り落とした。

その瞬間、凄まじい轟音と共に湖の水面が割れ水しぶきが空へ勢い良く舞い上がり俺の頭に舞い上がった水しぶきが強く打ち付けられ、空には綺麗な虹が掛かっている。


俺は、驚愕しながら後ろを振り向き神様のいる方向に顔を向けた。



(え、え?そんな、ありえない……)



そう小さく呟き未だ空を華麗に舞っている水しぶきを神様は、口をポカンと開きながら眺めている。

まるで、とんでもない怪物を見たような顔で綺麗な瞳の中に恐怖が見えた。

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