趣味:食事

 担当官が訊ねた。

「えー、青年さんは餃子を作るのも食べるのも大好き。餃子を焦げ付かせない方法は幾通りご存知ですか?」

 青年はきょとんとした顔で、つい言葉を漏らした。

「チンしますね」

 担当官の表情が凍った。

「なっ……そのままお待ち下さい」


 別室で社内会議勃発。

 ややあって―

「本日はお疲れ様でした。結果は……」


 青年はお祈りをされた。




【未解決編】

 後日、青年は緊張しながら面接先へ駄目元で電話をかけた。今後の就活のヒントになる何かを掴みたかったのだ。

 しかし、悲しいかな、青年は訊ねてしまった。

「せめて落とされた理由を伺えませんか!?」

「内密に出来ますか? この会話も録音していますが」

「出来ます」

 こちらも録音中だが、仕方ない。青年は録音スイッチをオフにした。担当官が言う。

「えー、我が社では餃子は宴会でのつまみとして大歓迎です。しかし、例えば焼いているフライパンに水を注ぎ、その上で鍋のふたを被せ、少し置くなどの焼き方も体得した方でないと、社内唐突料理勝負などが勃発した際の要員としてはとてもとても……餃子が食べたくなったので、これで失礼致します」

「餃子を優先された……!」

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