シリーズ・就活

躯螺都幽冥牢彦(くらつ・ゆめろうひこ)

趣味:ゲーム(その1)

 担当官が訊ねた。

「えー、青年さんはゲーム好き。お父様のご影響。

 ファ○コンコントローラーのボタンのタイプは?」

 青年はきょとんとした顔で、つい言葉を漏らした。

「タイプ?」

 担当官の表情が凍った。

「なっ……そのままお待ち下さい」


 別室で社内会議勃発。

 ややあって―

「本日はお疲れ様でした。結果は……」


 青年はお祈りをされた。




【未解決編】

 後日、青年は緊張しながら面接先へ駄目元で電話をかけた。今後の就活のヒントになる何かを掴みたかったのだ。

 しかし、悲しいかな、青年は訊ねてしまった。

「せめて落とされた理由を伺えませんか!?」

「内密に出来ますか? この会話も録音していますが」

「出来ます」

 こちらも録音中だが、仕方ない。青年は録音スイッチをオフにした。担当官が言う。

「えー、我が社ではご趣味がゲームなのは大変に結構と考えているのですが、家庭用ゲーム機を挙げられるのでしたらば、せめてファ○コンのゲームは嗜まれていなければ、たまに開催される社内ゲーム大会で、別部署とすら勝負にならないのです。

 実際案件の争奪戦ですし、そこで選択されるゲームも基本的に一発死にゲームですし。

 では、失礼致します」

「Oh……」

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