十二番目の志士

村上俊介

十二番目の志士1 嘉永6年6月深川源蔵長屋に二人の兄弟が住んでいた、高杉新之助とその妹妙である、高杉家は西国の小大名の家臣であつたが、父がお家騒動に巻き込まれ断絶のうえ所払


十二番目の志士1


嘉永6年6月深川源蔵長屋に二人の兄弟が住んでいた、高杉新之助とその妹妙である、高杉家は西国の小大名の家臣であつたが、父がお家騒動に巻き込まれ断絶のうえ所払い、

となり、江戸に出てきたのである、母は生国でなくなり江戸には父と子供二人で出てきたのだが、慣れぬ土地の為か父は兄弟二人が残して去年他界したのです、


父は勘定組頭であつた為新之助は小さいころから算術ソロバンを習わされ腕は相当なものであった、また剣術も千葉道場の目録を持つほどの腕前だったのです、父が他界、

してからは算術指南(いまでいうと会計士)をやっていた5件の大店の指南を受け継ぎ、剣の腕を生かして大名屋敷の出稽古をして日々の糧を得ていたのです、贅沢は出来、

ないが二人が食べて行くには十分であった、


またお妙は大店の娘達に琴を教えて糧を得ていたのです、お妙はいつも新之助にお家再興をする為に何処かに仕官するように口うるさく言っていたのです、千葉道場の主で、

ある、千葉定吉からはいくつか仕官の口を紹介してもらったのだが、新之助は宮使いは苦手だと思っており適当に返事をしていたのです、大店の店主からは腕を買われて、

重宝されており、


時には用心棒をたのまれる事もあり、その場合は別途手当て金を貰う事になっていたのです、この長屋には6家族が住んでおり、大工、左官、小間物行商、人足、飾り職人、

等多彩だが武家は新之助達だけである、今日は特段仕事もなく朝餉をとると釣りにでもいくよとお妙に言うと、それではお弁当を作りますよといい握り飯にタクワンを、

いれた弁当を作り渡したのです、


したくをして家を出て船宿に向かったのです、江戸は移動の為の掘割が多く深川いったいにも沢山の船宿があったのです、船宿千歳に行くと女将がいらっしいと座敷に通し、

たのです、女将が今日も一杯釣れるといいですねと言うので、この時間からだと回遊魚しかかからないよ、朝早くか夕方なら食いもいいのだがと笑うと、新之助様は朝起き、

が苦手ですから漁師にはなれませんよと言ったのです、


船頭の小吉が船のしたくができましたと呼びに来たので座敷を降りて船に向かったのです、船に乗り込み今日は品川沖まで足を伸ばしましょうというので、海に出て品川、

沖に向かったのです、春の海は穏やかでとても気持ちがよく暫くすると小吉がこの辺が潮目がいいみたいですよと言うので、釣竿を延ばし針を投げ入れたのです、小吉が、

新之助様の釣りは餌を使わないのでいつも驚いていますと言うので、


いかに魚を騙すかがおもしろいんだよと笑って、タバコをふかしていると竿がぐぐ~としなったので引き上げるとアジが3匹かかつています、大きめのあじです、あっと言う、

間に16ひきを釣り上げたのです、暫くすると当たりがなくなりどうやら回遊していったらしく今日はここには戻ってこないだろうと竿を上げたのです、小吉が相変わらず、

見事な腕ですというので、


お前の潮目を見る目がいいのさと笑ったのです、それからポイントを変え竿を入れるとカサゴが12匹、カレー13匹をつけ上げたのです、お昼になり弁当を食べようという、

と小吉がアジの叩きを作りこれをおかずに握り飯を食べたのです、飯が終ると小吉が竹筒に入れた日本酒を出し、アジの叩きをつまんで酒を飲んだのです、


それでは帰ろうというと小吉が船を漕ごうとして沖から向かってくる船を見てなんですかあの船は煙が出ていますが船火事ですかねと言うのでよく視ると煙突みたいな筒か、

から黒い煙を出して凄い早さで近づいて来たのです、黒い船でマストはありますが帆ははつていません、外に水車が取り付けてありそれが回って進んでいるのです、


驚いていると船が停止して甲板から大勢の人が下を見ていたのです、日本人ではありません、オランダ人かと思っていると一人の男がかたことの日本語でアメリカの船だ、

といい、外に突き出ててる大砲から轟音がして火を吹いたのです、小吉が逃げましょうというので、無駄だよ奴らは鉄砲をもっている、逃げようとすれば撃ち殺されるよ、


暫くじっとしていようと言ったのです、11発の大砲を撃つと縄はしごが下ろされ登るように言うので、二人は船をはしごの下に繋いで、登り甲板におりると黒いひげを、

はやした男が手をだしたのです、しらん顔していると、傍にいた男が手を握るのが我々の挨拶なのだと言うので、手を握ったのです、手を放して何かを言ったのです、


お前達はこの江戸のものかと言うので、そうだと答えると役人に知らせてくれと言い、我々は危害を加える為に来たのではないと言ったのです、わたしはアメリカのペリー、

提督だアメリカ大統領の親書を将軍に渡す為に来たのでといい、号令をかけると甲板にいた兵達が手に持ったいた鉄砲を海に向かって構え、フイヤーとペリーが言うと、

凄い音がして鉄砲が火を吹いたのです、


さつきの大砲は弾はとんでいない、あれは空砲だ相手に対する礼節なのだと言たのです、それでは役人に知らせてくるといい、縄はしごをお降りて船に戻り深川の船番所、

に行ったのです、陸に上がるとさつきの大砲の音で大変な騒ぎになっています、役人にいままでの事を言うとお主はあの船の者と話しをしたのかと聞くので、日本語の分、

かる通詞がいると言って、


ペリーが言った事を伝えたのです、私と一緒に南町奉行所に行ってくれというので、小吉に魚は長屋にアジ6匹とカレー6匹を届け後は女将に渡してくれと頼むと、承知し、

ましたと小吉が言ったので、馬に乗り奉行所に向かったのです、奉行所に行き奥座敷に通されると奉行以下幹部が控えており、拙者は筆頭与力の青山だこちらが南町奉行、

水野様だと紹介するので、


高杉新之助ともうす浪人者ですといい、先ほどの船の様子とペリーの言った事を話すと水野が青山に長崎に回航するように伝えよと命令すると、さつそく使いを走らせます、

と部屋を出ていったのです、水野が先ほどの大砲は礼砲だというのかと聞くので、ペリーがそう言っていましたと言うと、船の片方に8門の大砲と前後ろに二門合計20門の、

大砲があります、


また彼らが持っている鉄砲は火縄がありませんでしたと言うと、新式の鉄砲なのだろうといい、ともかくご苦労であった、何かあれば呼びにいかせる我々に協力してくれと、

言うので承知しましたと答え、奉行所を出て船宿に戻ったのです、女将が出迎えとんだ災難でしたねと言うので、いや良い物を見たよとと言うと、小吉が魚はお妙さんに渡し、

ておきました、


心配していましたので早くお帰りになったほうがいいですと言うので、それではと言うと、女将が二分銀二枚を渡しこれが魚の代金ですというので、船の借り賃と相殺だと、

言うと、あれで料理を作り出せば2両にはなりますからいいんですと言うので、それではと受け取り長屋に向かったのです、


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