第15話

悩みに悩んだ挙句、結局他に頼める人がいるわけでもなく、担任の先生に相談する事にした、というわけだ。


先生は、今までに美優から時々容姿コンプレックスの相談を受けていたので、美優が想像した以上に落ち着いて話を聞いてくれた。美優が話し終わると、少しの間黙っていた先生は優しく切り出した。

「DNA鑑定をやったとして、もし、もしもの話だよ。親子じゃないと分かったらどうするの」

「それは・・・、その時に考えようと思って」

先生がそっとため息をつく気配がした。

「これは先生個人の意見だけどね、どれだけうまく隠しても、今はDNA鑑定で他人かどうか一発で分かっちゃうでしょう? でもね、鈴木さんの話を聞いている限り、昔からずっとお父さんお母さんが何か隠してるような素振りって全くなかったんでしょう? 」

 美優は眉間に皺を寄せて思い出しながらも、しぶしぶ、うん、とうなずいた。

「今まで何度も鈴木さんが皆と似てないねって話題になったらしいけど、家でもそこで皆が話を変えるとか、誰かの態度が怪しかったとか、養子縁組やそういうニュースを見ないとか、そういう事もなかったんでしょ? 」

美優は不承不承うなずいた。

「鈴木さんが本当に養子だったら、まずそういう話題自体しないと思うんだ」

 DNA鑑定は未成年のみでは申し込みできない。自分が調べられるわけがないと高をくくっているのかと最初は疑ったが、成人になれば調べられるのだから、ごまかし通すとしてもあと五年程しかない。家族と自分はあまりにも似ていないからその間隠し通す意味も分からない。

 やはり、たまたまの偶然なのか。不幸な偶然によって、自分は美しい両親にも、祖父母にも親戚の誰にも似ていない容姿に生まれついてしまっただけなのか。何か意味を持たせる事はそもそも無意味だったのか。

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