第10話

「うち、やっぱり甘いんですかね」

 杉本が珍しくため息をついた。


 部長たち上層部は、まるで販売目標台数をなぜ達成できないんだとでも言うように、出生率を上げられないのは何故だと会議で矢口達を攻め立てる。物を売るようにそんなに簡単に子供の数を増やす事などできないし、有効策がないと分かっているのに毎回の会議で嫌味を言われたり時に怒鳴られたりするのは、もうブラック企業と言っても良い。先日の杉本の案は一応了解は取れた。しかしそれでは少ないと今朝、課長がまず呼ばれて雷を落とされたらしい。疲れ切った顔の課長から「悪いがもう少し案を出してくれ」と言われ、矢口と杉本は再び頭をつき合わせて考える羽目になっている。


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