第20話 ファイトマネー
今日はキックボクシングで何より大切な、お金の話です。
いいですか皆さん、キックボクシングを続けていくので一番大切なのはお金関係です。
技術とか熱い魂とかも大事ですが、格闘技は何よりお金です。
私の知りうる範囲内ですが、額の話をします。
2000年代前半の某中堅団体の新人育成興行でデビュー戦で5万円でした。
まぁプロモーターとかにもよりますが、コレ±1万円が相場でしょう。
当時は地方興行なんかなくて、試合するなら東京で試合しなくてはなりませんでした。でも、有名選手の試合は後楽園ホールでやるので、お呼びでない新人選手はどうでもいい小さな会場(どっかの体育館とかスポーツジムの中とか。イスもない全席立ち見とかザラ)で篩いにかけられ、経験と実績を積んでより大きな試合に臨んだものです。
デビュー戦から3.4回連続で連続KO勝ちした前途有望な新人選手は8万円でした。
何で私がそんな事を知ってるかっつったら、そりゃアナタ私はジム会長に届く連盟からの秘密の報告をコッソリ見たからですよ。
ああ、ちなみにね、ハイトマネェーってのは現金では支払われません。
チケットで払われます。
要するに5万円なら5万円分のチケットが選手に手渡され、それで支払いは済まされます。
選手はそれを友人知人に売りさばかないと、お金は貰えないということです。
友達の少ないコミュ障の選手なんかは悲惨でしょう。
ついでに言いますとねぇ~え?
とあるジムはファイトマネーの3割をマネージメント料とかなんかの名目(口実は別に何でもいい)で「現金で」会長に支払わないといけません。
とあるジムと書きましたが、だいたいどこもそうでした。
今でもそうじゃないですかね?
ジム経営は現実との戦いなんだよ!
夢やロマンでメシが食えると思ってんのか!!
お前キレイ事ばっかり言ってるけど自分が出来もせん事をほざくんじゃねぇ────!
…今はね、地方にもジムが増え、地方でキックボクシングの興行も盛んに行われるようになりました。
ファイトマネーは前座で2万円が相場です。
アッチの地方でもコッチの地方でも選手を出しましたが、だいたいどこもそのくらいですね。
ちなみに、最近の、この地方興行のプロ試合というのは、別にプロテストを合格して正規のライセンスをとった人たちでなく、「コイツならイケんだろ(゚∀゚)」くらいのアレで、誰かから実力がプロ相当と判断された「自称プロ」共の行う試合です。
ハッキリ言って、試合は猛烈にレベルが低くてしょっぱい試合の続出で、見る価値はないですね。
知り合いが出場する時以外、カネを払ってみるモンじゃありません。
どこかの2万円試合で、この出場給を現金で支払ってくれた豪気なお方がいましたね。まぁ、どうでもいいです。
それと、人望のある選手なら、試合に勝てば後援者などからご祝儀がもらえます。
これがまた結構な額になります。ファイトマネーよりご祝儀のほうが額が多い選手なんかもいるんじゃないですか。
まぁ、会長にピンハネされなければの話ですが。
Aジムにいた頃は、正式なファイトマネーの額は誰も知らされませんでした。
連戦連敗のジムでしたが、初めてS山さんがプロ試合に勝ちました。祝勝会を開いたら、みんながS山さんに気前良くご祝儀をくれるではないですか。
Aジムの会長(焼肉屋経営でエラ張ってる)はいい事を思い付きました。
S山さんはケンカ最強なので、彼に対しては実行しませんでしたが、まだ高校生だったZ君です。
数ヵ月後、Z君も試合で勝ちました。
会長は祝勝会と称してゴルフコンペを開き、そこで皆さんからご祝儀を徴収し、「あとでアイツに渡しておくから~〈ヽ`∀´〉」と言いました。
もちろん、その御祝儀は全額ネコババされ、Z君には一円も手渡されることはありませんでした。
試合会場で「親分」から預かったご祝儀は、聞いたら「ああ貰ったよ」の一言で済まされてましたね。
そのZ君も今やジム経営をしており、だいぶお金に汚いご様子です。
私も数十万円騙し取られました。
キックボクシングなんてそんなもんじゃないですかね。
K-1なんかもファイトマネーの累計未払額が億単位だと聞きますし。
あなたがもしお金を欲っするならば、格闘技で稼ごうなどと思わない事です。
よしんば稼げたとしても、それは若いウチのほんの一瞬でしかありません。
全ては口約束で、金のトラブルが異常に多い業界です。
金のトラブルは即座に人間関係のトラブルに発展し、人間関係は修復不可能になります。それはあなたのキャリア形成にも悪影響を及ぼします。
やるなら覚悟してやって下さい。
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