僕と彼女と秘密の穴
御劔 凛音
第1話 平凡を壊す魔法の穴
僕の名前は蘭 凛音(あららぎ りおん)。なんか名前が女の子っぽい?気にすんな!れっきとした男だよ。
今日は4月11日、高校の入学式。15才の僕は今日から夢の男子高校生になる。だるかった受験勉強が終わり今日から遊びに遊んで遊びまくるつもりだ。もう勉強なんてするもんか。
「お兄ちゃん?。昨日隣に、お兄ちゃんと同い年の女の子が引っ越してきたらしいよ?入学式までまだ時間があるでしょ?挨拶してくれば?」
え~。だるいなぁ。
「うん。わかったよ」
面倒くさいが行ってこよう。妹とは何気?に中が良いので言うことは聞いておく。
妹の名前は涼花。中2で成績がとても良い天才タイプ。おまけに運動もできて、スタイルも良い。そして可愛いので文句なんて無い。透き通るライムグリーンの髪と整った顔立ちは中学男子の視線を集めて、家に押しかけてくる、ということは珍しいことではない。しかし、残念ながら一般男子には勝ち目は無いだろう。妹の唯一の弱点?は、重度のブラコンだということ。外だとしっかりしているらしいが、家に帰ってくると溶けるんじゃないかと思うくらいに溶けた顔で話しかけてくる。一昨日なんて寝ているはずの妹が夜中の2時にお風呂に侵入してきたことは、まだ誰にも言ってない。あれはまずかった。一般男子全員を敵にまわすところだよ。しかもタオルなんて巻いていないから、裸を直視しちゃったし。
「はぁ」
「?どうしたの?お兄ちゃん」
言えない、妹の裸を思い出したなんて。
「な、なんでもねぇよ。じゃ、行ってくる」
「うん。いってらっしゃい」
あ~。可愛いなぁ。こんなこと言っておきながら僕もシスコンなのかも。
俺が住んでいるのは5階建てのマンションで、505号室そして、隣の部屋である504号室は僕がきてから誰も住んでいなかった。妹を産んですぐ両親が2人とも病院ですぐに死んだので、おばあちゃんの家に住んでいる。だからなのか、僕にはこのマンションに住む405号室の白河 萠(しらかわ めぐ)という女の子しか友達がいない。まぁ、友達なんてたくさんいても変わらないとは思っているから良いんだけど。
ピーンポーン ガチャ
速っ!?こんなに速いの?
「はい、どなたですか?」
そこからは形容するのが難しい女の子が出てきた。黒く長いストレートの髪、妹以上に可愛い顔立ちは、絶対彼氏も格好いいと想像出来てしまう。身長は170cmの僕とより少し小さいし、スレンダーでもある。胸も妹以上で、この子も学校では大変な思いをしているだろう。
「隣の部屋に住む蘭です。えーと、同じ高校ですよね?僕は今日から1年生です。君は?」
こんなに可愛い女の子は妹以外ではそこまで話さなかったので、少し緊張する。
「あっ、んと、わ、私も1年生、です。え、えーと。でも、高校の行き方わからない、です」
え?えぇ!?
「えと、どうして?」
女の子はもじもじしながら
「そ、その。昨日来たばっか、なので、道がわかんない、です。」
そ、そういうことなのか?
「なので、一緒に、行ってくれませんか?」
「わ、わかったよ、じゃあ8時にむかえにいくから」
「は、はい!」
今は、まだ7時30分。30分あれば準備が出来るだろう。
部屋に戻り準備を進める。今日は筆箱以外必要なものはないはずだが、何故か忘れものをした気分になる。
「お兄ちゃん。朝ごはん出来てるよ?」
涼花は家にいるときは家事全般をしてくれている。これぞ非の打ち所がない、と言うのだろう。
「あぁ、わかった」
そういえば、まだ朝ごはん食べてないんだった。涼花が廊下に行った後に、机の上のスマホを取ろうとしたら誤って下に落としてしまった。
「んっ?」
スマホを拾って上がろうとすると目の前に大きな穴があった。
「あれ?入れそうだな」
僕は意外とラノベとかを読んだりするのでミステリーが大好きなのだ。っということで入ってみたい欲望に勝てず入っていく
(あれ?結構短いな)
入って2秒ほどで明るいところに出た。
「えぇと?ここは?」
女の子の部屋だろうか。白を基調とした部屋の中にベッド、勉強机に椅子、少女コミックやらが本棚にたくさん置いてあった。
あれ?考えろ。自分の部屋は、隣の部屋と隣接している。そして、その方向は504号室だ。そして、少女コミックだ。ということは
「キャぁぁぁぁぁ」
!?この声は。
「な、なんであなたがいるんですか?」
や、やっぱりぃ!?
「え、えと、そんなつもりは、誤解だぁ」
「問答無用!とりあえず正座して下さい!」
ひぇぇぇ。こ、怖えよこの人。
とりあえず状況を説明した。後少しで学校でもあるので、こと早く理解して貰えた。
「そんな穴あったんですか?こんなところに」
「う、うん。」
「お兄ちゃ~ん?」
す、涼花!?あ、声が聞こえるのか?ここ。
「や、やべ。朝ごはん食べてねぇ」
「え?妹いるんですか?」
「うん。まぁ、あいつが部屋出て行ったら、部屋に戻るから」
時計を見ると、7時50分になっていた。
「なっ、もうこんな時間なのか?」
「え?知らなかったんですか?早くしないと遅刻てすよ?」
マジか。まぁ、準備が終わってるから良いけどさ。朝ごはんを食べないのはまずいよなぁ。
「遅刻しないで下さいね?」
「うん。すぐに行くよ。またね」
またね、という言葉を背に、また穴に戻っていったのであった。
「あれ?お兄ちゃん?どこにいたの?」
戻って台所に行くと妹と目が合った。
「え?トイレだけと。気づかなかった?」
平然と嘘をつく。ゴメンよ涼花。
「朝ごはん。冷めちゃうよ?」
「あ、あぁ」
早く食べないとな。
早々に朝ごはんを済まし、歯を磨いた。もう何も無いだろう。最後にまた忘れ物の確認だけをして玄関を出る。
「行ってきまーす」
妹はさっき家を出て行き、今は俺1人しかいない。
外に出て鍵を掛けポストへgoする。そのまま隣の504号室へ足を運んだ。
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