飴色の涙

飴色の涙

　私は鏡を見るのが好きだ。小さな丸い手鏡でもいいし全身鏡でも三面鏡でもいい。マジックミラーは見ていて興奮する。けどデザインにはこだわりたい。ハート型の鏡を覗けばロマンチックな気持ちに、白を基調にゴールドで縁取られた三面鏡はどこか優雅で大人な気分。どれもいいけれど一番好きなのはこれ。絵画をいれる額縁をモチーフにした鏡。まるで自分が絵画の中に入ったような、いや、絵になったような錯覚に陥る。不思議な世界に迷い込んだような、ちょっぴり怖くて、けれど踏み入れてみたいときめきの空間。

　鏡の世界に閉じ込められたらどうなるかしら。クリスマスプレゼントに貰った鏡。(もちろん額縁のね)に触れる。出れなくなったら困るわ。だってそんなの怖いじゃない。けど鏡の向こうにはとっても素敵な王子様がいて、もしかしたら私を手に入れるために鏡の中に引き入れたのかもしれないわ。それとも、鏡に閉じ込められた私を、紳士な美少年が助けに来てくれるかも。

鏡一つで私の世界はどんなふうにでも膨らんでいく。それが楽しくて仕方ない。私の、私だけの世界はこんなにも輝いていて、こんなにも、自由なのに……。