終ノ章

終 新ナ旅ヘ

「なによ!これ!!」

白縫は、文を読みながら怒りの声をあげていた。

「落ち着いてください。姫様!」

それを八代がなだめようとしたが、彼女の怒りは収まる気配はない。

「これを怒らずにいられますか!!信じられないわ。信じられない。妻である私を置いて、勝手にいくなんて!!!」

「それは、姫様を危険な目にあわせたくないという心使いですよ」

八代が苦笑しながらいった。

「わかっているわよ。わかっているけど……。でも、私も琉球へ行きたかったの!!このおおお、八郎!帰ってきたら、覚えてらっしゃい!!」

白縫は、屋敷から見える空へと向かってさけんだ。


「八郎君。よろしいのですか?」

白縫の叫び声は、確かに八郎の耳に届いていた。

彼とともについていくことになった家李や紀平治の耳にもはっきりと聞こえる

「そうですよ。姫にあとでなんと言われるか、わかったものじゃないですよ」

「構わぬ。なーに、別当殿に逢いにいくだけではないか」

 その手には、別当からの文が握られていた。

 別当は、ただ一言

『おもしろきことあり。来たれ。八郎君』

 と書いていた。

それだけで、八郎の胸が躍る。

「本当に好奇心旺盛というか」

「なにかいったか?家李」

「いいえ」

「さあ、いこう」

「はいはい」

それを懐に入れると、再び馬を走らせた。


目的地は


琉球の地



そして、



一つの伝説が終わり


一つの伝説が始まる


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