終ノ章
終 新ナ旅ヘ
「なによ!これ!!」
白縫は、文を読みながら怒りの声をあげていた。
「落ち着いてください。姫様!」
それを八代がなだめようとしたが、彼女の怒りは収まる気配はない。
「これを怒らずにいられますか!!信じられないわ。信じられない。妻である私を置いて、勝手にいくなんて!!!」
「それは、姫様を危険な目にあわせたくないという心使いですよ」
八代が苦笑しながらいった。
「わかっているわよ。わかっているけど……。でも、私も琉球へ行きたかったの!!このおおお、八郎!帰ってきたら、覚えてらっしゃい!!」
白縫は、屋敷から見える空へと向かってさけんだ。
「八郎君。よろしいのですか?」
白縫の叫び声は、確かに八郎の耳に届いていた。
彼とともについていくことになった家李や紀平治の耳にもはっきりと聞こえる
「そうですよ。姫にあとでなんと言われるか、わかったものじゃないですよ」
「構わぬ。なーに、別当殿に逢いにいくだけではないか」
その手には、別当からの文が握られていた。
別当は、ただ一言
『おもしろきことあり。来たれ。八郎君』
と書いていた。
それだけで、八郎の胸が躍る。
「本当に好奇心旺盛というか」
「なにかいったか?家李」
「いいえ」
「さあ、いこう」
「はいはい」
それを懐に入れると、再び馬を走らせた。
目的地は
琉球の地
そして、
一つの伝説が終わり
一つの伝説が始まる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます