四神国戯
はと麦茶
プロローグ
外界を海に囲まれた四神国。
その西方に位置する小国、西海国。
「昨日の武術大会は、すごかったな」
槍を持った小太りの兵士。
「そうそう、最終戦に陛下の乱入」
最高に盛り上がったな、とひょろ長い兵士。
「ぎゃあああああっ」
王の部屋から悲鳴。
「敵襲か」
「陛下、王妃様!」
兵士二人が慌てて駆け寄ると
「あらあら、ごめんなさい」
西海国、王妃の琉璃(るり)がおっとりした口調で
「旦那様が大声を出すからよ」
「そ、そのもうちょっと丁寧に」
仰向けになっている王の腰に、薬剤を染み込ませた布を巻いていく。
しかし、その作業はかなり雑である。
(王妃様、あまり器用じゃないんだな)
さすがの兵たちも苦笑い。
「釣竿に餌を付ける方が、簡単ですわね」
「王妃様、これは一体?」
兵士に問われ
「今日の朝、起きれないと言うから」
呪術師に診せたら、一週間は安静にするように。
「昨日の武術大会が原因ですわね」
「しかし、困った。主神祭のため、応竜様を迎えに行かねばならぬ」
「この状態では無理です」
瑠璃は溜息をつくと
「あの子に行かせましょう。社会勉強にもなります」
「いや、女の子に一人旅をさせるなんて」
「ご心配なく。護衛はつけますわ」
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