冴えない彼とやっぱり冴えない彼女

チビ丸

第1話 安芸くんが変な方向に向いてしまった

これは霞ヶ丘先輩とえりりがサークルを抜けてちょっとしてから、安芸くんがすこし落ち込んだ反動で迷走しちゃったお話。


コンコンガチャ「安芸くーん?」


「あ、おう加藤。いらっしゃい」


「次回ゲームのシナリオ作りの相談だって?」


〜だいたい30分前〜

プルプルプルプル......ガチャ『あ、繋がった、すまん加藤寝てたか?』


「寝てたと思うなら電話よこさないでほしいなぁ」


『あ、そうだなごめん』


「で?なに?こんな朝早くから?まだ7時ちょっと前だよ?」


『新作ゲームのキャラ設定について昨日夜に思いついたんだ、今から家にこれるか?』


「いけると思う?」


『あっ、ハイ。すいません、こんな朝っぱらから女子を家に呼んで』


「まぁ、行くけどね。両親は大丈夫なの?」


『うん、今日は朝早くから仕事に出てるよ』


「わかった、30分ほど待っててね」


『女の子は色々準備があるんだったな、ゆっくりでいいよ』


「うん、じゃあ後でね」


〜現在〜

「ああ、次回作は、美少女ゲームという方向性は変わらない。けどな、主人公の性格を少し変えてみたいと思っているんだ」


「具体的にどんな?それを話し合うの?」


「いや、実はもう決まっているんだよ......」

そう言って安芸くんはパソコンのデスク前から立ち上がって部屋の真ん中に置いてあるテーブルの前に、寝転んだ

「えっと、安芸くん、何してるの?寝るの?」


「あ、いや寝ないよ。ちょっと加藤にお願いがあってだな......、本来はこんなことをメインヒロイン様に頼むのはおかしいと思うんだが...」


「思うんだが?」


「俺を踏んでくれ!加藤!」


「ん?なんて?ヨクキコエナカッタヨ、ゴメンネ。」


「だから、足の裏で、俺を踏んでくれってことだよ」ヨイショ、ット

一体何を言っているんだこの人、と思った。

「いいから、次回作はドM系主人公で行きたいんだ!だから加藤、お願いだ、踏んでくれ」


「えっとね、人に初めて面と向かって『踏んでくれ』なんて言われたからすこーし戸惑いを隠せないよ?」


「もちろん、無茶を言っているとわかっている(わかってない)、けどな加藤、もう詩羽先輩の手を借りることはできないんだ!」


「それはシナリオ執筆のことかな?それとも踏んでもらうってことかな?どちらかとい言うと足だよね、安芸くん」


コホン(セキバライ)

「と、とにかくさぁ!早く!」


「朝早くから男子の家に呼ばれて入って3分で『次の企画のために踏んでくれ!』なんて、なんだかなぁだよ、安芸くん(まだ朝7時半)」


「一思いに!」


「あぁ、まぁ、じゃあいくよ?」フミフミ

私はできるだけ感情を殺して安芸くんのお腹に足を踏み下ろした

「ぐぼぉあ!!それフミフミって勢いじゃないよ!」


「えー、だって安芸くんが、一思いにって言うから日頃の恨みとかの思いを込めて、」


「一思いって一つの思いを込めるって意味じゃないよ!......ふぐゅ!」


「うわ、大丈夫?安芸くん。やりすぎた?」チョット汗


〜数分後〜

「流石に大丈夫?オタクには厳しかった?」


「え?ん?......あ、ぁあ......平気だ。いや、まぁありがとう加藤。あんな顔(♭8話、視聴覚室参照)で女性に踏まれるなんて経験二度とないだろうからな、貴重な体験をさせてもらったよ(痛み的な意味で)」


「あ、うん。役に立ったならいいよ。安芸くん多分、朝ごはん食べてないよね。作ってくるね」ヨイショ


「ん、あぁ、サンキュー」

キィ、パタン






(............スカートで来てるとは思わなかったなぁ、いや、でもその状態であんなことしてくれたんだから...もしかして加藤は......俺のことを......)







「マジの鬼畜だと思ってんじゃないのか?」ブルブル






なお、この主人公ドM化計画はろくにレパートリーが思いつかず、すぐに頓挫したとさ。



END

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