第7話 量子力学
それからレイは、物理に取り憑かれたようになった。
物理教師とは、万物の理論だけでなく、相対論や電磁気学、場の量子論など、様々を語りあった。
ほどなくしてレイは、量子力学に出会う。
「二重スリットの実験……ヤングに似てる」
レイは仰向けになり、タブレット端末を操作した。
「コペンハーゲン解釈……波束の収縮?
エヴェレットの多世界解釈……ああ、パラレルワールドのことか
SFの世界の中だけじゃねーんだな
パイロット解釈……なんてのもあるのか」
レイはタブレット端末を置いた。
「だめだ、興味はあるが、さっぱり分からん
先生教えてくれっかな」
実は、原子や分子などの量子がどこにいるのかというのは観測されるまで本当に決まっていない。
観測がおこってからやっと決まるのだ。
だから量子は、あそこにいやすい、ここにいやすくない、といった、『確率の濃度』で表される。
「なんとか解釈ってゆーのは、『こー考えれば量子のヘンな性質にツジツマが合うぞ!』を説明している」
「……へぇ」
「無理やりツジツマ合わせするものだから、どれもクレイジーに思える」
そんな量子のヘンな性質を……
観測前は、よくわからないエネルギー(波)だけど、観測後ははっきり粒子、と、波束の収縮で解釈したのがコペンハーゲン解釈。
『量子はあそこかも』という可能性の世界が無数に干渉していて、観測したときたまたま『量子はここ』の世界を観測している、と、パラレルワールドで解釈したのが多世界解釈。
そんな解釈は他にもあるが、現在の科学はそれらを否定するばかりだ。
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