3000年の時が経っても君を忘れない

柏木おうが

プロローグ

プロローグ 

 ここはどこだろう?

 

 気が付くと俺はここにいた。

 今俺は、真っ白で何もない無機質な部屋の中にいる。

 ある物といえば、俺の座っているイスと目の前に七つのイスがあるだけだ。

 これは、夢なのだろうか?

 それとも現実なのだろうか?

「あなたは、鷹橋直人さんで間違いないでしょうか?」

 俺がいろいろと考え事をしていると、前から女性の声がした。

 声のした方を向いてみると、奥にあったドアから何人かがこの部屋にゾロゾロと入ってきた。

 それぞれ、前にあった席に座り全員がこちらを見てきた。

 そして気づいた。

 俺の目の間におかしな光景が広がっていることに。

 俺から見て左からスーツの男性、ピエロ、フルプレートアーマーを着た人、美しい女性、じいさん、一つ飛ばして十歳ほどの女の子が座っている。

 なんか怖いんですけど。

 これが夢なら早く覚めてください。

 と、不思議な光景を見て俺が固まっているとじいさんの隣にいる女性が口を開いた。

「初めまして、私は女神アリス。あなたを導きに参りました」

 導く?

 女神?

「あなたは、昨夜短い人生を終え亡くなりました。心からお悔やみ申し上げます」

 は?

「えっ? どういうことですか? 俺、死んだんですか? なんで? 死ぬような事していなかったと思うんですけど。死因は何なんですか?」

 いきなり言われた俺の死を聞いて、驚きのあまりそんな言葉が口から出た。

「死因ですか……。それが私たちにもわからないのです」

「わからないってどうことですか!?」

 わけのわからないことを言っている女神様につい強い口調で言ってしまった。

「はい。知っておられるかもしれませんが、あなた方の世界の生死は私たち神が決めています。ですのであなたの生死も私たちが決めるはずなのです。ですが、昨夜高橋様が突然亡くらられてしまい、私たちですら何が起こっているのかわからないのです」

 当然死んだ?

 それも神ですらわからないってどういうことだよ……。

「本来ならば、今ここにいる我々六柱ともう一柱いるのですが出張中のためこの場にいないことを心からお詫び申し上げます」

 と、言いながら頭を深々と下げてきた。

 いや、別にそんな一柱いないぐらいどうでもいいのだが。

 それよりもここは何だ?

 まさか本当に死んだわけではないだろう。

 たぶんだが、これは夢だろう。

 いや、夢だ。

 うん、夢であってほしい。

「それでですね、まずは高橋様がなぜお亡くなりになったのかを調べていますので、今しばらくお待ちいただけますか?」

「あっ、はい。お願いします」

 いろいろ考え事している時に急にそんな事いわれたので、少し情けない返事になってしまった。

 そして俺が再びこの状況について考えようとした時、背後からから声がした。

「その必要はないわ」

 当然聞こえた女性の声にこの場にいた全員が声のする方に目を向けた。

「彼の死因は私なのだから」

 は?

「どういうことです。説明しなさい、エヴァ」

「簡単よ、私が彼をここに呼んだの」

 は? つまり俺はこいつによって呼ばれたっていうのか!?。

 ふざけんな!

 

 あぁ神様! これが夢ならどうか早くこの夢が覚めますように……!


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