第3話演じろ

当たり前だけど…私が「静かにして。」と言っても、みんな聞く気すらなかった。

けど、先生は続けた。

「自己紹介をしてくれ」

と…イケメンな人は、

「あるま 楽です。」

と、無愛想な挨拶をした。

想像と違った。世の中そんなんじゃ…やっていけない。

「席は夢川のとなりに、座れな」

先生が言った。杉さんたちが、

「いいな」

と、話をしている。こっちをみながら。

みんなに嫌われたくない。私の心には、その言葉が、繰り返されている。

そんないっしんで…

「先生」と呼んで、目が悪いということを説明した。そして、先生には悪いけど、と席を変えしたいと提案した。嘘をついた。胸になにかが、突き刺さった。ずきずきとみんなには聞こえないおとで…うなっていた。

仮面。いつはずれるんだろうか。

さっきのは、一時の時間だけ…

演じるしかないんだ。

先生が席を変えようとすると…

先生の言葉をさえぎって、あるまさんが、

「僕が、ノート見せますよ」

と、会話に入り込んできた。

杉さんたちは、私がただ、あるまさんに近づきたいだけなんじゃね?と…

演じなければ…

「あるまさんにも悪いので、先生にも負担がかかってしまいますが…」

申し訳なさそうに演じた。

先生は「わかった。じゃあ杉と交換してな。」

と言った。

演じきった。

けど…またさっきの痛みが、主張してきた。

演じなきゃ…私がだめになる。

そう、自分にいい気かせ

た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る