Deep Blue -深海の姫達

中原 茜

第1話 冬の朝

深海の夜の闇の中で、ほっぽは考える・・・

なぜレべリングするのかと・・・

なぜだろう・・・ 

どうして提督はレべリングを続けるのだろう・・・

寒い雪の夜、幼かったほっぽはシナモンミルクティーを飲みながら、レ級姉さんに聞いた・・・

ねぇ、どうして提督は深海を攻めてくるの?

わたし達って地上を攻めた事って無いでしょう?

なのに、どうして提督達は攻めてくるの?

レ級姉さんは 「それはね、あの人達はレべリングという魔性を持っているからよ」 

と、言って悲しそうな目をした



霜を踏んだらパリって音を立てて割れた寒い朝、

今日はいい事がありそうって思った・・・

今日は平穏でありますように・・・

ほっぽは、艦内神社にお水を上げながら、そう祈りました

その日の昼だった・・・

通告無しにバトラーの武蔵が鎮守府海域を襲ってきたのは・・・

バトラーは眼を血走らせ、蹂躙しろっ!と、叫んだ

鎮守府海域のイ級達は武蔵の前では、あまりにも無力だった


ある寒い日曜日の朝、レ級姉さんとポストまで深海新聞を取りに行った

足元は、昨夜降った雨で凍った石畳が滑りそうだった

レ級ねえさんが、気だるそうに新聞の見出しを見て、つぶやいた…

ぁぁ、また、地上のやつらが5-4レべリングしてるよ…

ほっぽは新聞の見出し写真をそっと見た

昨日砂場で一緒に遊んだあと、またね、って言ったハ級ちゃんの轟沈する姿だった

ほっぽは、明日は月曜日だな、って思って、そっと、ポケットのゼロを撫ぜてみた

レ級ねえさんは、遅いブランチを食べながら、深海wikiで今日の編成を組んでいるその傍で、ほっぽは、ゼロをブンブンさせながら、遊んでいた

ねえさんは、寂しそうに、ポソっとつぶやいた


やつらの装備が進歩しているな…

バルジや缶の改修かっ…

ソロモン海域が、レべリング海域になるのも、そう遠い日ではないなぁ…


ねえさんの寂しそうな横顔を見つめながら、ほっぽは、言った

もし、5-5が蹂躙される日が来たら、ほっぽ、レ級ねえさんと共にどこまでも行くよ、って。

ねえさんは、寂しそうに微笑んで、「お前は生きろ」って、言った


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