第1話 御前家朝の一コマ
私、御前創は大体8時くらいに起きる。今日もいつもと変わらない素晴らしい朝だ。台所では愛する妻が料理を作っている。そんな妻を横目にコーヒーを適当に入れ、いつもの席に着く。とりあえずテレビでもつけようか。今朝も様々なニュースが流れている、おっと今女子アナがレポートしているお店近所じゃないか、今度行ってみよう。それにしてもこの女子アナ最近よく見るな。なんでも美人アナとして一世を風靡しているらしい。しかし、私には関係あるまい。そんなことを考えていると。妻が料理を終えたらしく、その品々を運びだしているのが目に入った。
「手伝うよ。」私がそう言うと、
「あらあら、別に座っててもいいのよ?でもありがとう。」と妻が返す。やはりとても可愛らしい自慢の妻だ。料理を並べ終え、2人で席に座る。ちゃんと手を合わせ2人同時にいただきますをする。
そして妻の料理をいただく。うん、とても美味しい。焼きジャケの焼き加減も最高だし、味噌汁も味噌の塩味と出汁の旨味が最高のバランスときている。さて、朝ごはんを少し堪能したところで、私の妻の話をしよう。今、私の眼前に座るこの女性が齢60となる私の妻ミカだ。私の最愛の妻である。私の最愛の妻であるのだ。そう、私の最愛の妻であるミカの見た目はほとんど女子大生と変わらない。美人女子大生顔だ。私自身何を言っているのかわからないし、贔屓目だろうと言う声も上がるだろう。しかしどこからどう見ても、その尊顔は女子大生のそれなのだ。下手したら結婚当初よりも若い。まぁそれでも、なんといっても齢60なのだ、顔は取り繕えても(この場合、もはや取り繕うなどと言うレベルではないが)、人間、首の老いは隠せないと聞いたことがある。さぁ、ミカの首に目を向けてみよう。まず、最初に思うこと、それはもはや生まれたてのような肌であるということ。ありえない艶だ。生まれたてだ。本当にすわっているのだろうか?なんて人理に反した首なのだろう。とまぁこのようにミカは到底人間にはなせないような美しさを保っている。そりゃ、可愛らしい自慢の妻な訳だ。そういえば以前、ミカに美しさの秘訣を問うた時があった。その時はあなたを愛しているからですよと言ってくれたなぁ、あれは嬉しかった。さて、そんな奇跡のようなミカだが、もちろんこれだけにはとどまらなあ、まず、冒頭で見ていたテレビ、女子アナが近所の店を紹介していたが、私に女子アナの顔は見えていない。もちろん、私の目がおかしいわけでも、テレビに異常もない。これは多分というか間違いなくミカの仕業だ。と思い、以前問い詰めて見たことがあったが、何を言っているのか全くわからないと言われたあげく、そんなに他の女が気になるのですか?と少し不機嫌にさせてしまった。このことから導き出される結論、多分ミカは無意識でこれをやっている。確かに三十代前半から女性の顔が霞がかかって見えるという症状はあった、あれから数十年もはや妻以外の女性の顔は見えなくなってしまった。さぁここまでで、私も朝食の半分ほどを食べ終えた。ここからが私の朝の始まりだ。眼前のミカが、おもむろに足を伸ばし、私のズボンのチャックを足の指でおろし出す。そして器用に探って露出させ、指の間で擦る。何を擦るかって?そんな野暮なこと聞くんじゃないよ。傍目から見れば異常な光景だろう。しかし、何十年も続けば、それはもはや朝のルーティーンとなる。朝に瞑想やヨガをする感じと思ってもらえれば差し支えない。しかし、なぜだろうか、ここまでされているのに創の槍は未だに練習用なのだ。つまり危なくないようにカバーが付けられている。これ以上は言わせないでくれ。多分生命がミカという超生物に恐れをなしているのだろう。そうでなければ困る。そんなルーティーンを無事にこなし、厳かに朝ごはんは終わる。我が家の朝はいつもこんな感じだ。そして、今日も1日が始まる。あ、これは言っておかねばなるまい。私の妻ミカはこんなものではない。今まで話したことも普通では十分ありえないことだ。しかし、ミカはこんなレベルですむような女性ではない。
だからこそ、彼女といるのは楽しい。今までも様々なことがあったし、これからも色々なことがあるのだろう。しかし、これだけは言える。私は彼女との日々を永遠に忘れることはないだろう。
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