鱗粉

幽月 ぼんやりと灯る銀

凛と鳴った雫 ひとつ


幻影 ゆたゆた漂えば

遠吠えは掻き消えて にじむ


暗い暗い風は 嘶くように吹きつける

鬣を震わせ 谷底に叩きつける


狂った月光花は強烈な香りを放ち

今か今かと獲物を待つ

惹きつけられた蝶は鱗粉を撒き散らし

翅をぼろぼろ崩して

地に堕ちた

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