毒の庭

世に流れるドラマが幻想と思うように

世に流れた事情が空想と思えたように


手元にある現実が普通だと信じ込む

手元にあった現実が普通でないと知った時


世からずれているのは他人事であり

世から見捨てられるのは物語であり


手元にあったものが事実でないと知った

ドラマのような世界はあるのだと知った


それは人を殺すには簡単な作業であった

幻想と空想が嘘だと思い知った瞬間

現実が普通でないと知らされた時

この世が本物ではなく事実ではない世界であると知った時


僕は死んだ

死は幸福である

ここは毒の庭、すでに根は血管を巡り尽くし

骨は砕けた

名は忘れた

除草剤を撒いても身体の皮膚を破り芽吹く

綺麗な花は毒の香りがしていた

これでは夢は追えない

感情と理屈が先行しているくせに

足元は動かず、遠く遠く気持ちだけが躍起を起こし

理解はできている、だから僕はまだ終えない

だから、そう名前を捨てておわらせない

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