水底の解体プランクトン

人波に流されて幾星霜

自分が分からなくなるまで沖の海

どこにも打ち上げられず海の底


悪くない。水底は静寂で静謐で物音がしない

耳に張り付く海水さえ心地よく、身体から空気がなくなっていく。

ああ、いいね。人に揉まれるより波に擦り減らされる身体は

まるで廻っていくようだ。人間の残り粕ではなく

プランクトンに解剖される身体。うん、循環

人波にもまれてよかった。あの集いがあったこそ仄暗い水の底で還る幸せ。

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