第3章 愛

▶ これまでのあらすじ◀

【第2巻『転移者』までのあらすじ】

 by メアリ・シレーン



 元人魚のわたしは、シャーク海賊団の船に乗ることになった。

 シャーク海賊団を率いるのはラムズ・シャークという男。船員のほとんどは赤髪赤目のルテミス。


 ──ルテミス。

 神様に神力しんりょくという特殊な力を依授いじゅ(授与みたいな意味よ)された、化系トランシィ殊人シューマだ。

 ルテミスが依授された神力は、赤髪赤目、強靭な筋力や敏捷びんしょう力ってところ。つまり体術に関してはめちゃくちゃ強い。


(元人間の殊人シューマは、見た目や性格が変わると化系トランシィに、変わらなくてショボい能力を貰っただけの場合は能系アビリィに分類される。

 魔物が依授されると獣人ジューマ、わたしみたいに人間以外の使族が依授された時は、ただ"神力持ち"って呼ばれるだけよ)



 実はガーネット船に乗っていた人間たちに、わたしが人魚であることがバレちゃった。だから今後はさらに人間に警戒して生きていかなきゃいけない。


 なんで警戒する必要があるかって?

 わたしたち人魚が人間にすごーく嫌われているからよ。


 でも、船長のラムズはわたしの鱗を相当気に入っているようで、これからはわたしを守ってくれるらしい。ラムズは宝石が大好きで、彼にとっては鱗も宝石くらい美しいんだって。


 ラムズはエルフ並に魔法が得意で、おそらく血を飲むヴァンピールという使族しぞくだと思うわ。とにかく謎めいた船長なの。

 使族っていうのは神様が創った存在のこと。ドラゴンや人間、人魚、エルフなんかも使族だ。それ以外にこの世界にいるのは、空気中の魔力から自然発生した魔物だけ。



 とある事件のせいでわたしは死にかけた。そして体からがれ落ちた汚い鱗を元に戻すため、フェアリーに会いに行くことになった。


 仲間に加わったのは五人。

 幼い見た目、酒好きのヴァニラ、

 聖女のロゼリィ、

 男のエルフのノア、

 凄腕魔導師のアイロスお爺さん、

 そして異世界転移者のレオンだ。


 レオンは相当変わってる。地球という別世界から来たせいか、彼の価値観には驚く。

 そしてレオンと協力して、わたしは人魚の悪い噂(人魚は歌で人間を操るっていう誤解)を消すために頑張ることにした。



 そんなメンバーで、わたしたちは南大陸のハイマー王国という国に着く。というのも、海のど真ん中に大きな渦があったのだ。あれじゃあ船が通れない。


 しかも海の底にはクラーケンの死骸があった。

 クラーケンなどの怪物のような使族は殺しちゃいけないのに。一体誰が殺したの? そして、何のために?

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