059
「もちろん、主である私にも責任はある。だから罰の半分は私も引き受けよう」
レッドフィールドは腰に手をやると、小ぶりの銃を抜いて、テーブルにごとん、と置いた。
「お許しください」
少女は震えながら頭を下げている。
「なにもお前だけに罰を与えようといっているのではないんだよ。さあ、そこに座りなさい」
少女はテーブルの側の小ぶりな椅子に恐る恐る腰かけた。
レッドフィールドはテーブルの上の銃を取り上げると、銃弾をひとつだけ装填して、シリンダーを回転させた。
「なあ、バーニィ。私は相変わらず公正だろう?」
そういって、銃を少女に手渡した。
「さあ、お前からだ」
少女は震える手で銃を持つと、こめかみに銃口を押し当てた。
「やめろ!」
僕の隣でヨミが叫んだ。
僕たちの周りの少女たちが、いっせいにファントムの銃を僕たちに向ける。
カチン、という音が部屋に響く。
少女の手から銃を奪うと、レッドフィールドは無造作に自分のこめかみに銃口を向けて引き金を引いた。
カチン。
再度、少女に銃を手渡す。その顔はまるで素晴らしいプレゼントを子供に手渡そうとしている父親のようだった。
少女の細い腕が銃を持ち上げていくのを見ながら、レッドフィールドは最後の肉片を口の中に放り込み、ゆっくりと咀嚼しはじめた。
TBの体から闘気が立ちのぼっていくのが感じられる。その腕をバーニィが掴んでいた。
銃声と共に少女は床に倒れた。床に大量の血をばらまいて。
レッドフィールドは、ぶるっと身震いすると、恍惚の表情を浮かべ、口の中の肉片をごくりと飲み下した。口の端から、赤い肉汁が一筋滴り落ちる。
僕は自分の足元の床を見下ろした。赤茶色の染みがそこらじゅうに付いている。さっきキャットがいったのはこういうことか。
テーブルの上に付いているボタンをレッドフィールドが押すと、またふたり、同じ顔の少女が現れた。いったい何人いるんだ。
新しいふたりは、床に倒れている少女の遺体の足首を持ってずるずると部屋の外へ引きずっていった。
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