033

 フランチェスカとクリスが銃を抜いた。キャットも銃を抜こうとして、「いや、お前はいいだろう」とヨミにあきれられてしまっている。

 フランチェスカとクリスは銃身を折って、シリンダーを露出させた。

「ふたりとも四十五口径。俺が知っている通りだ」

「ちなみに私のライフルも同じ口径よ」

「このあたりで出回っている銃はほとんどが四十五口径だ。二十二口径は護身用だな。坊や、遺体の傷は全て見たか?」

 僕はうなずいた。

「全部四十五口径だと思う。でも、ひとつだけ口径の小さい銃創があった。男の人のここに。たぶん至近距離から」

 自分のこめかみに人差し指を当てて、僕は答えた。昼間、ヨミにいおうとしていたのはこのことだった。

 二十二口径の銃は威力が小さいから、持っている人は珍しい。もちろん殺傷能力はあるから、当たり所によっては命を奪える。TBは落ちている薬莢の中から目ざとく二十二口径のものを見つけて拾っていたんだ。 

「そうか」

 今度はバーニィが考え込んだ。

「心当たりがあるんだな」

 ヨミがバーニィを見つめる。バーニィは答えるべきかどうか迷っているみたいだった。

「分かっていると思うが、だからといって、完全に疑いが晴れたわけでは――」

 バーニィが苦笑を浮かべてヨミの言葉を遮った。

「その銃の持ち主に心当たりがある」

 みんながいっせいにバーニィを見た。

「ドクター・ウィリアム・レッドフィールド」

 バーニィの口から出た名前に、僕は心当たりがなかった。 

「コーディネーターか」 

 ヨミの言葉にバーニィがうなずく。

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