第2話トラウマ

高校三年の春頃、俺は一人の女性を好きになっていた。とくに関係性と呼べる程のものはなかったが、俺は自然と彼女を目で追いかけていた。ただよく見られる。それだけで、好きではないのか?と勘違いをしてしまう。そんな勘違いから、俺は彼女を意識するようになっていた。陰キャラの俺は、当然面と向かって話すことはできない。そこでラインだ。話せないくせに、ラインで話しかけることができるというのも不思議なものだ。ラインで彼女との会話は続いていたように思うし、続けさせていたように思う。なぞの高揚感から血迷った俺は突然告白をしてしまっていた。当然フラれた。ラインというのは、その時の感情で言葉を伝えている。だから明日になるとめっちゃ後悔することが多い。俺も当然後悔した。現実で会うと歪な空間に押し込まれているような、そんな感覚を覚えた。今までいってなかったが、彼女はクラスメイトで、ラインも当然クラスラインから入手した。だからクラスで俺の告白が広がっていることは間違いない。俺は、黙秘権を行使してクラスに混り卒業まで至った。

ふとそんな高校時代を思い出した。今の俺は勘違いはしないと心に誓っている。だからバイトの彼女にも絶対好きにはならないという謎の確信があった。

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