ソロモン王創世記

神村椋

第1話 創世王の誕生

 僕の最初の記憶は、17歳のころだ。

 周りにはビルが立ち並び、スマートフォンと呼ばれる携帯電話も普及されて最先端の世界だった。

 しかし、そんな僕の日常は『交通事故』という何とも面白くない日常で終わる。


 暫く闇を漂ったような浮遊感のあと、

 次に目を開けた先は、豪華な装飾が施された部屋の天井だった。

 自分の名前は良く覚えている。

 『紅守こうもり尚央なお』。

 根っからの日本人だったはずだが、その時鏡に映る自分は黒髪は同じだが、顔立ちが外国人だった。

 どうやら、自分は異国で生まれ変わったのだと悟った。

 見た目はたった今生まれたばかりの赤ん坊。

 瞳の紅い、やけに美男だと褒められる赤ん坊だった。

 しかし、前世で17歳までの記憶は持っている。

 思い通りにならない身体を動かしながらひたすら聴覚のみで周りを探る日々。


 それから早7年。

 召使として同い年の子供二人が自室に挨拶に来た。

 一人は藍色髪の少女、もう一人は金髪の少年。


「…は、初めまして。私は『リーゼロッテ・アリシア』です…」

「…俺は『リオン・ガルシア』です」


「「宜しくお願い致します、『クラージュ・レイ・ソロモン』王子」」


 そう、僕は異国の王子となっていた。

 これを知ったとき、僕は相当焦っていた。


 『日本』に居た時、僕は相当な『面倒くさがり』だった。

 やらなくていいことはやらず、やる必要のあるものは出来るだけ体力を消耗しないように努める。

 これが僕だ。

 10年後、次期国王として旅立つ、王子にしては不向きな僕の性格である。



 

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