蜃気楼

村上俊介

蜃気楼1 もしあの人に出会わなかったら こんなにも切なくてこんなにも悲しくてこんなにも苦しい思いをしなくて済んだかもしれません。第1話

蜃気楼1


もしあの人に出会わなかったら


こんなにも切なくてこんなにも悲しくてこんなにも苦しい思いをしなくて済んだかもしれません。


でもあの人と出会つたおかげで


たくさんの優しさとたくさんの喜びと

たくさんの愛しさを知りました。


あれからずいぶん月日が過ぎてしまいましたがあなたはは穏やかでしようか・・


私は今あなたの好きだった海の見える公園にきています。


そしてあなたとの思い出の場所で海を眺めてます。


そうそれは5年も前のことになります。

その人は突然と私の前に現れ


泣き虫のわたしに

たくさんの愛と

たくさんの元気をくれました。


その頃私は丸の内のお堀のそばにある

会社に勤めておりました。


春の人事異動で私のいる場所に配属になつたのです。


その人がいると部屋の中が明るくなったよう感じのする

おもしろくて

楽しい人でした。


そして私はまたたく間に恋に落ちてしまったのです。


しかしそれは私の一方的な片思いで


臆病なわたしは自分の気持ちを打ち明ける事はなかなか出来ませんでした。


そんなある日

窓の外のお堀を見ていると白鳥がヒナを連れて楽しそうに泳いでいました。


よく見るとその中に一羽

黒いヒナが交じつています。

不思議に思い考えを巡らせていると


うしろからあのひとがボンと肩をたたきはなちゃん

なにを見てるのと話しかけてきました。

私は一羽

黒いヒナが間違って交じっていると言うと


彼はニコニコ笑いながらあのヒナはやがて白くなるんだよと言いました。


私はあんなに黒く

親鳥とは似ても似つかないのにまさかと言うと


彼はもし白くならなかったら僕が食事をご馳走するよ


白くなったら

はなちゃんのおごりだよ

と笑いながら言いました。


それから毎日お堀を眺めていると彼の言う通りヒナは段々白くなり美しい白鳥になってしまったのです。


そして彼が

はなちゃんの負けだね今日ははなちゃんのおごりだよ

とニコニコ笑ながら言いました。


これが彼との最初のデートでした。


彼は話し上手で色んな事に詳しく

話しべたの私は付き合ってとても楽な人でした。


ある日彼に誘われて伊豆の海にドライブにでかけました。


彼はコンビニに寄りビールとおにぎりだけ買ったので


他にいらないのと聞くと現地調達だよ

と笑っていました。

やがて伊豆の小さな海岸へ着き車のバックネツトを開け


水中メガネとシユノーケルを取り出しこれで食料を調達するんだよと


彼から水中メガネの付け方とシユノーケルの使い方を習い


早速水中メガネを付け海の中を眺めると色とりどりの魚が泳いでおりその美しさに目を見張るばかりでした。


彼は海にもぐるのが得意らしく30分くらいで沢山のサザエなどの貝を採り


海辺の岩でカマドを作り火をおこしその上にサザエなどの貝類を乗せました。


しばらくするとおいしい臭いがしてきたのでカンビールを取り出し


乾杯しよう

現地調達も楽しいもんだろうとニコニコ笑っていました。


引っ込み思案のわたしは彼の明るさに心が洗われる気がして彼と逢うのが何よりの楽しみになったのです。


私の誕生日の事です彼が新木場の駅に6時に待ち合わせしようと言ったので


何もない場所で誕生日のお祝いするのと聞くと


ま・いいから、いいからと訳を教えてくれません


約束の時間に駅の改札で待っていると

彼がこっちだよと

駅前からタクシーに乗り海のほうへ


タクシーを降りるとそこにはヘリコプターが


二人で乗り込むと

スーッと離陸しました

丁度夕暮れでヘリは都心へ


上空から下を見るとまるで宝石がちりばめたみたいの素晴らしい夜景が見えてきた


彼はこれが誕生日のプレゼントだよと

ニコニコ笑っています


私はまるでシンデレラのような気持ちになり彼の手を握りしめたのです。





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