Enterキーの勇者
仏滅パクチー
第1章 始まりの街、出会い、そして就職
第1話前編 無職とEnterキー
───プロローグ───
27歳の無職です。地元では神童と言われ、学歴はいい感じで、結構いい企業に勤めてました。
ふとしたことが原因で解雇されましたが正直、後がない年齢です。
さて、ソシャゲだけが趣味の僕はパズ○ラに課金するため、今日も今日とて就職活動、シュウカツ!やってます。
正月で世間は浮かれててもお構いなしに、パソコンで就活をしてたところ、爪に引っ掛かってEnterキーが取れてしまいました。内側のパーツが壊れてしまい、困った僕は就活を再開するため近くのpcパーツショップへと足を運びました。
怪しい雰囲気の店ですが就活のためならしかたありません、足を踏み入れるとそこには見たこともない美しい女性がいました。
「みたいな感じでいいですかプロローグ」
Enterキーを買うため店に入ると僕の目の前にはギリ抱けるくらいの女性がいて、そして訳の分からない話を突然始めた。
「いやよくないです、プロローグってなんですか。別に僕アイ○ツおじさんじゃないですし」
「無職が口応えすんなよ。次舐めた口聞いたら3分の4殺しぐらいにしますよ」
「オーバーキルじゃないですか。てか何で僕のパーソナルな事情知ってるんですか。ちょっと怖いんで帰ります」
そう言って店を出ようとしたら
「待ってください、1万人目のお客様なのでサービスしますよ」
などと言ってきたので、
「何してくれるんですか」
と半ばキレ気味に聞いたところ
「お客様の欲しいものをなんでも差し上げましょう。"素敵な"ものをなんでも」
いよいよヤバい気配がしてきた。詐欺か宗教もしくは気持ちよくなれる薬な予感が止まらない、早く帰ろう。
「結構ですので、失礼します」
「待ってください、通報しますよ」
なんかとんでもないことを言い出した。
「うちに強盗が入ったって。だから何か欲しいものを言ってください」
もう訳が分からない。埒があかないので
「じゃあEnterキーください」
「え、そんなんでいいんですか」
不思議そうな目でみられたが、これでいい。
下手に高価なものを頼んで裏から来た怖いお兄さんに脅されるよりマシだ。
突然彼女の周りが妖しげな光に包まれた。
「ではあなたに"伝説の"Enterキーを差し上げましょう」
彼女は僕に黄金色に輝くEnterキーをくれた。頭の整理が追い付かないが、もうこれ以上この人に関わりたくない。早く帰ろう。
今度こそ力強くこの店のドアを閉めようとしたところ
「待ってください、貴方にも願いと引き換えに勇者として、ある世界を救っていただきます」
......
よし帰ろう。Enterキー置いてドアに手を掛けた
「待てよ無職。今から貴方は対価として世界を救いに行かなければなりません。返品は受けかねます。じゃあ転送しますね」
今度は僕の周りが光り出した。
「ちょっとまって、詐欺じゃん。ちょっと魔法陣的なの出てきちゃったんですけど!帰ります!」
「落ち着いてくださいあなたは"伝説の"勇者です。何も恐れることはありません」
「人生27年目の人間にそんなこと言われても信じられないでしょ。お願いだからもうこのファンタジーなの止めてください」
僕を置いてけぼりにして彼女はブツブツと変な呪文みたいなのを唱えてる。
え、マジのやつなの?
「貴方には"伝説の"Enterキーがあります。きっと世界を救えますよ」
どうやらこのEnterキーはすごいやつみたい。依然意味わかんないけど。
「さっき『あなたも』って言ってたよね、他にも俺みたいなやつがいるってこと?」
「はい一万人ほどいますね。あちらの世界の一国の王と契約してて、私が願いを聞いてそれっぽい武器を渡す代わりに、異世界を救いに行ってもらってます」
ミリオンア○サーかよ。でも聞く感じ楽な世界っぽいが
「まあ一万人って言っても現在の生存者は300人くらいですけどね。」
そんなことありませんでした。
「死にすぎでしょうよ!もしかして、あっちで死んだらこっちでも死ぬてきな?」
「いえ、そんなS○Oみたいなことはしませんよ。あちらで死んでも日本の排他的経済水域のどこかに転送されるだけです。」
ほぼ死ぬじゃん。
「いやでも、あなたはここ最近では意外性ナンバーワンですよ。皆さんエクスカリバーとかグングニルとか求められるのに。」
「なんでみんな異世界行く前提でこんな店来てるんですか!」
「Twitterとかで募集してるんで。『異世界行きたいやつ求む』的な感じで」
普通の感性をしていたらそんな怪しい話乗らんでしょ。1万人もいるのかよそんな奴ら。
そんでもって、なんで厨ニ病全開のやつばかりなんだ。三十路間近の無職の場違い感ハンパない。
急に僕の周りを包む光が強くなり、魔法陣的なのが出てきた。
「もう転送しますね。まず城に転送するので『よくきたな勇者よ....』みたいな下り済ませちゃってくださいね。魔王的なやつ倒すと帰れますよー」
「的なやつってなんすか、何なんですかあああああああ!」
そこで僕の意識は途切れ、気がつくとゲームの中みたいなお城の中にいた。どうせ一万人目だし、たいした歓迎もされないで終わるのだろう。目の前の扉を開けると僕を待っていたのは
思いの外お祭り騒ぎな人々だった。
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