残像ーB2
ク「交渉決裂、っぽいな
うんともすんとも言わなくなった」
ク「どうやら上司はお前のこと見放したみたいだぜ?
可哀想だなあ、嬢ちゃん」
マ「……私は光都警備隊員です
隊長の意思は私の意思となる」
ク「ああそうかい、健気なもんだね」
ク「こんな良い子を、たかだか情報開示を渋って見限るなんざ
天下の光都警備隊も落ちたもんだ」
マ「……こんな事件を起こす貴方達よりはマシです」
ク「ん、それはどうかねえ
警備隊さえなければこんな事件起きなかった、かもな」
マ「何を言ってるんです?
意味がわからない」
ク「良いんだよ、わからなくて」
ク「どうせもうすぐあんたのお仲間たちが突入してくる
そうなりゃ俺たちはお陀仏だろうよ」
ク「せいぜい祈っておけ、神様どうか助けてくださいってな」
マ「……」
ク「んで、運よく助かったなら、自力で調べれば良いさ
あんたはそれができる場所にいる、身の保証はできないけど」
マ「?」
ク「ほんと、嫌な世の中だぜ」
男「おい、人質と喋ってんじゃねえ……っておい!
そいつ警備隊のやつじゃねえかよ!」
ク「いいじゃねえかよ、顧客との会話はサービスの一つだぜ」
男「ちっ、よくそんな平然としていられるな
その制服見ただけで虫唾が走るっての」
ク「ははは、商売人ってのはそういうの隠すのだけは上手いもんなの
人生経験の違いってやつさ?」
男「ああん、屁理屈言ってんじゃねえ
とにかく、もうすぐ奴らが動く頃だ、油断すんじゃねえぞ」
マ「……」
ク「そろそろ、来る頃合いかねえ
覚悟決めるとするか、あいつらと戦う覚悟を」
グ「2、1……突入!」
(音・破壊)
イ(正面組が突入した、私は4秒後に反対側から……今だ!)
(音・ガラス割)
イ(よし、死角! この隙に一人殺れ……)
ク「!」
イ「っ……!」
(音・銃声)
イ(危な……、反応された!?)
イ(……それに、身体がうまく、動かない)
ク(ちっ……ま、これが太陽の神に逆らった報いってやつかね
あの娘と殺り合う……実際に目の当たりにするときついねえ)
男「おい、裏からもくるぞ、迎え撃……」
(音・銃声)
フ「一人無力化した、けど……
テロリストが陰に入ってるせいで援護できねえ……!」
フ「くそ、こうなったら!」
グ「は、敵は十人と少しってところか
しかも訓練受けてる動きじゃねえ、こいつは無謀ってやつだぜ」
グ「よくもこんなクソみたいな計画練ったもんだ
……なあ? クレール?」
ク「なんだ、バレてたのかよ、せっかく覆面してたのに台無しだ」
ク「そっちこそ、五人で銀行強盗を鎮圧なんて、現場を舐めすぎじゃねえか?
教えてやらねえとなあ、市民の怒りってやつを」
グ「あ? 五人もいたのか、そりゃ、ありがてえことだ
本当は俺一人でもお釣りがくんだよバーカ」
ク「ぬかしやがるぜ、俺に一回も勝ってねえくせに」
グ「……どうしてこんなことしやがった、馬鹿野郎が」
ク「俺だってずっと聞きたかったんだよ
なんでお前がその制服に袖を通してる、グロキア!」
イ(あの声、パン屋の人だ……)
イ(じゃあこの変な感じも、さっき食べたパンが原因で……)
イ(……)
男「おい、そっちにも一人いるぞ!」
イ(くっそやるしかないのか、この身体で)
イ「うおぉぉぉっ!」
(音・銃声)
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