人の価値とは
和麗 華玲
第1話
皆さんは、自分の価値について考えたことはありますか?自分に価値があると思いますか?
多くの人が答えに迷ったり、自分に価値はない、と答えると思います。
そもそも人の価値とは何でしょうか?
人の価値とは主に3つに分類されています。
1つ目は「創造価値」です。これは人間の活動によって表現することが可能な価値のことです。仕事や執筆、音楽や芸術という表現活動の成果として実現される価値を指します。例えば、曲を作ったり、絵を描いたりというようなことです。
2つ目は体験価値です。これは、人間が何かを体験することで実現される価値を指します。例えば、外国に語学留学してみたり、フルマラソンに出場して完走したり、というようなことです。もしくは、日常的なことだと、旅行に行ったり、仕事を毎日を行ったり、というようなことがあります。
これらのような身近なことでさえも、価値があります。体験から何かを感じたり、得たりすることによって実現されています。
最後に3つ目は「態度価値」です。これは自分に与えられた環境や状況に対してどのような態度をとるか、それにより実現される価値を指します。例えば、自分が苦しい状況下であっても他人を気遣えたり、周りが不正をしても自分はフェアを貫いたり、というようなことです。
3つの価値がある中で「態度価値」だけは誰にも奪うことはできません。「態度価値」は自分の意思以外の何にも依存しないからです。
ゆえに、ヴィクトール・フランクルは生前にこのような言葉を残しています。「どのような状況下になろうとも、人間には1つだけ自由が残されている。それはどう行動するかだ」と。これはどのような状況下であっても人間には「態度価値」だけは残されている、という意味だと考えます。つまり、人間にはどのような時、どのような場面であっても「態度価値」は常に存在するということです。
話は変わりますが、ヴィクトール・フランクルの他にも人の価値について提唱した人がいます。アインシュタインです。彼は生前にこのように述べていました。「人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」と。これは先ほど分類した3つの価値のどれにも当てはまらない考えだと思います。無意識のうちに誰かに何かを与え、無意識に価値があることに変わっていく。これは、今これを読んでいることも何らかの価値があるのだと気付かせてくれます。
人の価値とは、多くの言動から引き出すことが出来ます。たとえ、現実の自分が他人と比べて能力が低くても、容姿があまり良くなくても、失敗ばかりするとしても、この世に価値のない人間はいないのです。他人と比べて優れている点や、特筆すべき能力だけがその人の価値ではありません。人間の価値の基準とはそんなに安易なものではないのです。もし完全に自分に自信がなくなっても、その人の価値がなくなることはありません。
態度や無意識に行っていた言動もすべてが価値があるというと、あまり実感が湧かないと思います。しかし、能動的に態度や行動を選んでいくことで、人間一人ひとりの存在自体が価値となるのです。
発言しにくい状況下の中で、勇気を出して発言することが出来る人がいれば、それは価値です。絶望的なピンチの中でも、その現状を前向きに捉え、周りの人々のムードも前向きに変えていくことが出来る人がいれば、それは価値です。接しやすい人も接しにくい人とでも、態度や行動を変えずにコミュニケーションを取ることが出来れば、それは価値です。
たとえ特別な「創造」や「能力」や「体験」が無くても、人間一人ひとりには生きているだけで十分な価値があります。このことを決して忘れず、胸の奥底にでも残しておくことが大切だと思います。もし、何かに失敗してしまい、自分の存在を無価値だと思ってしまうことがあったとしても、胸の奥底に残しておいたこのことを思い出し、考え直すことが出来れば、これからの生活や出来事でどんなことがあったとしても、前向きになることが出来るのではないでしょうか。
人の価値とは 和麗 華玲 @endo1228
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