猫も歩けば、いろはカルタ

其の一

 お正月も、あっという間に終わっちゃったね。


 あれから、毎日、ウリ坊のウリンちゃんと凧上げして、楽しかった。

 でも、さっき、ウリンちゃんはおとうさんイノシシと一緒に、年神様のいる山に戻っちゃった。

 せっかくお正月だったんだから、凧上げだけじゃなくて他のお正月遊びもしたかったな。



 「ミケちゃん、いる?」


 あっ、きつねこちゃんの声だ。

 はーい、あたしも、クマパンちゃんもいますよー。

  

 「ミケちゃん、カルタ取りしない?」


 「カルタ取り?」


 「うん。猫のお菓子屋さんの福袋に、お菓子といっしょに入っていたの」


 「えっ! お菓子屋さんに福袋なんて、あったの!? なんで、誘ってくれなかったの、きつねこちゃん!」


 「誘いに来たのに、ミケちゃん、いなかったんだもの」


 「あっ! きっと、公園か川の土手で、凧上げしていたんだ」


 「凧上げしたの? いいなぁ、あたしも誘ってほしかったな」


 「ぼく、めもしたよ、きつねこちゃん」


 「へぇ、なんて、書いたの、クマパンちゃん?」


 「うりどし」


 「うりどし? なに、それ、おいしいの?」


 きつねこちゃんは、キョトンとした顔になった。

 そりゃ、そうよね。

 その「うりどし」で、あたし、ほとほと、困ったんだから。

 でも、今はきつねこちゃんにそれを説明するより、お菓子屋さんの福袋の方が気になる! 猫のお菓子屋さんのお菓子なら、ぜったい、おいしいんだもの!


 「ねぇねぇ、きつねこちゃん、お菓子屋さんの福袋、どんなお菓子が入っていたの?」


 「じゃん!」


 きつねこちゃんは、お菓子屋さんの福袋を差し出した。

 「ミケちゃんたちと、カルタ取りしながら、食べようと思って持ってきたの」


 「やったー! さすが、きつねこちゃん! ありがとう!」


 「お菓子、こんなにいっぱいあるんだし、カルタ取りも大勢の方が楽しいよ。チャコマロンちゃんも呼んでこようよ」


 「じゃあ、ぼく、ひとっ走りして、チャコちゃん、呼んでくるよ。きつねこちゃんとミケちゃんは、カルタ取りとお茶の準備しておいてね」

 クマパンちゃんは走って、チャコマロンちゃんを呼びに行きました。


 三毛猫ミケ

 (続く)




***



 

 初売りの福袋。

 手に入れた方も多いと思います。

 福袋は、江戸時代の恵比寿袋が始まりといわれています。


 その元祖福袋にお名前が使われている恵比寿様は、商売繁盛、五穀豊穣、大漁豊作、除災招福の神様。

 室町時代からの民間信仰「七福神」の中にも、恵比寿様はいらっしゃいます。

 七福神の七柱の神様は、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天。

 神道、仏教、道教などの神様たちが仲良く一緒に、福を授けてくださるんですね。

 その七福神の中で、恵比寿様は、唯一日本生まれの神様だそうですよ。



 お菓子屋さんの福袋に入っていたカルタ。

 ミケちゃんたちのカルタ取りは、普通じゃすまない予感もするけれど(=ΦÅΦ=)

 いったい、どんなことになるんでしょう。


 

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