2ページ

 ふふふ、と両端に引き締まる赤い紅が、悪さと美しさを際立てている。なんて、こんな魔女みたいに微笑んでいるけれど、本当は嬉しくて仕方ないのだろう。

 目の奥が乙女のように澄んでいるもの。

「恋人でもないし、遠慮してイブイブに約束をしていたのに、イブに浩太郎と会えるなんてラッキーよね」

「そうですね」

 こういう時、何て言うんだっけ? 地獄で仏? 終わり良ければすべて良し? 余りものには福がある? なんてね。

「ふふ」

 蘭子さんに素敵なクリスマスプレゼントが贈られたみたいで良かった。

「オリーブ、おいし」

「ありがとうございます」

「私、好きなものは最後に食べるタイプなんだよね」

 なるほどね。早くが来ればいいのに。

 ニッと笑った蘭子さんに、どうか幸多からんことを祈って。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る