秋空のしたの部員たち

麦直香

一番 切望と希望

一音 危機 奏馬視点

春樹「なぁ、奏馬。帰りコンビニ寄ってこうぜ」           奏馬「行きたいけど部活おわんの、6時だろ。それに、寄り道したら母さんがうるさいし………」                      春樹「ったく、お前の親は過保護だな」               奏馬「うるさいなぁ。じゃ、また後で!」              奏馬は、まっすぐに音楽室に向かった。灰色の重いドアを開けると、いつものメンバーが集まっていた。俺とおなじ2年生が5人と1年生が3人だ。                               佐織「あ、奏馬遅いよー。1分17秒遅刻」             佐織にそう言われて、俺は時計を見た。秒単位では分からないが、だいたいそれくらい、遅刻しているようだった。              奏馬「なんで秒単位まで、分かるんだよ」              佐織「適当にいいました」                     佐織の発言に、同級生も後輩たちの間にも笑いが起こった。佐織はいつだって、ムードメーカーだ。小学生のうちからいつも周りを笑顔にしていて、将来の夢はたしか介護士とかだったような気がする。       そんな佐織が音楽に目覚めたのが、小6の3学期だった。市の合唱コンクールで、『天使』のような歌声だったと、ある人物から称賛されたのだ。その『ある人物』というのが、今通ってる唐花中学校からはなちゅうがっこうの、音楽教師・栗元先生だったのだ。            -10分後。                           佐織「栗元先生、来るの遅いね」                  奏馬「そういやそうだな。ちょっと穂乃花、見に行ってきてくれないか」穂乃花「えー外さむいよ」                     奏馬「あとで、菓子パン買ってやるから」              穂乃花「よっしゃ、すぐ行く」                   奏馬(どっちにしろ、絶対に帰りコンビニ寄らきゃならなくなったな)  -さらに10分後。                        穂乃花「ハァァ。ハァ。ゲホ。」                  奏馬「おい、穂乃花どうしたんだ!?先生は?」           穂乃花「それが……。病気で突然倒れたって」            穂乃花の一言に佐織は一瞬、視界がグラッとした。

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秋空のしたの部員たち 麦直香 @naohero

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