からあげ

からあげの写真を毎日RTし続ける素晴らしいSNSインフルエンサーM(美しい女性)がいると聞き、いてもたってもいられなくなった僕は、僕があげたからあげをアップしてもらうべく究極のからあげを作ることにした(断じて下心はない、断じて)。


まずは味の秘密をを知らねばならぬっ!

からあげが東京で一番うまいと評判の店に弟子入り(バイト)し、修行を続け(週3くらい)、師匠から数ヵ月で稀有な才能と認められ、からあげ免許皆伝(クビではないはず)をいただく…っ!!


次は材料探しである!

まずはメインの鶏肉っ!

むちっとして柔らかくも張りのある鶏肉を探し、新幹線と飛行機を駆使っ!

ブロイラーとも(値切り)交渉、(さらに値切り)交渉を重ねて手にいれる黄金級の肉っ!


次は衣っ!

衣に使用する粉は、純国産の有機栽培をしている農家まで赴き買い付け(るのは旅費が足らず近所でがんばったぞ!)っ!


味付けも大事であるっ!

醤油も、生姜も、油も!

厳選された奴を(近所のスーパーで)東奔西走し手にいれたこいつらを使うっ!


隠し味にも気を使うっ!(ここは企業秘密!)


よし、これでできる…!できるぞ…!!!!

あげる温度もはかった、完璧だ…


僕の未来を賭けて、いざ尋常に勝負だ!

からあげ!!!


じじっ、じっ、


じゅわ、じゅわじゅわわああああああぁぁぁあああ…あああぁぁああああぁぁ…!!!



このとき、僕は気づいていなかったのである…

僕の携帯(ネット込み)と電気代が滞納によって先ほど止められてしまっていたことに…

材料集めに熱中していたあまりに、銀行の残高が10円と5円で構成されており、すぐに代金を支払えないことに…


――これは後に悲劇のからあげと呼ばれる、僕の不幸のはじまりであった――



「ほうかほうかー、んじゃなー」

「え、あ、まってください!この話には続きがあるんですよ!」

「ほーほーほいでほいで」

「ここからが面白くなるんですちょっとまってくださいねこのあとじつはですn

「ほうかほうかー、んじゃなー」

「えっ、あっ、ちょおおおお」

「がんばれよー!」


ガチャッ、ツーツーッ


「いやーサンタ番組もたいへんやで~」

「はい、続いてのお電話は~」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る