地下8
サスケが教えてくれた地区は縦穴だった。
「この底に何かあるんでしょうか?」
日向は覗き込んだが何も見えないというふうに首を振った。
「どう思いますか?平沢さん」
「ありえません…」
「ありえないって何がですか?」
「この縦穴は見たところ100mは続いている。そんな縦穴が存在することはありえないんです」
日向は平沢の言わんとしたことを考えようとはして見たが首を振った。
「でも、現にこうしてあるじゃないですか?」
「地下鉄システムは、あらゆる建造行為を行う前に委員会の承認を必要とするようにプログラムされています。その建造行為を分類整理しているのは我々事務局です。いくら委員会が形骸化して要求をノーチェックで通しているとはいえ、承認要求も出ていない層が建造されているなんてありえません」
平沢は縦穴を覗き込みながら言った。
「どういうことですか?」
「ここは、五層最深部です。そしてこの縦穴の底は第6層です」
その言葉の意味することを日向も悟ったようだった。
「6層の建造は認可されていないのか…」
「地下鉄システムの、無断建築。または事務局以外の部局、例えば情報局と委員会幹部の暴走。いずれにしても大スキャンダルです」
平沢の声は興奮で震えていた。
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