委員会2

管理委員会事務局長執務室 11:30 AM


西野は執務室に戻るなり上着を無造作に椅子に掛け、傍にいた平沢に尋ねた。

「時間は?」

「11時半を回ったところです」

平沢の答えを聞くと西野は大きく溜息をついた。

「3時間!、3時間もあんなくだらない茶番に付き合っていたのか?全く信じられない。奴ら具体的な要求内容すら確かめようとしない、あんなのは会議とは呼べない」

「局長が内容の精査を求めればよろしいのでは?そもそも議題設定は局長の仕事ですよね?」

「私は事務局長で奴らは委員会常任委員だ、格が違いすぎる。下手に委員会改革なんてしたら異端視されて次の人事移動で左遷工作が行われるだけだ、そうなったら―」

「―私たちの計画が進められなくなりますね」

「そういうことだ。今は我慢するしかない」

「では、私はこの後政府の調査員と会談がありますので、失礼します」

「待ちたまえ」

西野が立ち去ろうとしていた平沢を呼び止める。

「その調査員とはエネルギーの試算値について送ってきた彼かね?」

「ええ、今から”委員会の公式見解”を伝えに行きます」

平沢は”委員会の公式見解”と言う部分を強調して言った。

「もし、その調査員が骨のありそうだったら私に合わせてもらえないか?」

「それは構いませんが。どうするおつもりで?」

平沢の目線が険しくなる。

「それは会ってから決めるさ」

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