玄関

スニーカーとサンダルとブーツ。

それさえあればいつでもどこでも行ける。


初めてヒールの靴を買った。

あの人に会いに行くために。


お揃いのスニーカーが並ぶようになった。

一緒にどこまでも行きたい。


ヒールの靴を靴箱にしまった。

またいつか履く時まで。


スニーカー二足の間に小さな靴。

明日はあの公園に行こう。


小さな靴が少しづつ大きくなる。

どこへ行くのかな。


私のスニーカーよりも大きなローファー。

どこへでもあなたの行きたいところへ。


あの大きな靴が行ってしまった。

大丈夫よ、あなたなら行ける。


スニーカーと革靴が並ぶ。

ねぇ、久しぶりにあの公園へ行きましょう。


新品の草履と革靴。

あの子達なら大丈夫よ。


小さな靴とスニーカーが二足増えた。

どこに行きましょうか。ふふっ。


ヒールの靴を出す。

もう、私には履けないわ。


サイズも色も形もばらばらの靴。

いつのまにこんなにも玄関が

賑やかになったのかしらね。



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紡ぎ詩 成瀬 碧 @egfk

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